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912日(土) ビシュケク 晴れ

 

【カラコルを目指す】

 昨日に続いて今日も朝6時起床。がんばって市バス7番に乗り、8時にバスターミナルに着いた。

目指すカラコルへのバスの出発時刻は、昨日構内の時刻表でチェック済みなのだが、ロンプラによれば、それら正規の大型バスよりも、ターミナル横から出ているミニバスのほうが早いらしい。我々がターミナルに降り立つと、なるほどメガホンで客寄せをしている声がする。見ると、定員10名ほどのマイクロバスが何台もたまっており、その1つからメガホンで元気に、イシククル湖方面の客寄せをしているのだ。

「カラコル! チョルポンアタ! ボステリ!」

近寄ってみると、今しもバスが出るから乗れ乗れとばかりに声をかけられ、荷物をハッチに積まれ、我々は座席に座る。

が、ほかに客はない。

ミニバスは9時になっても出発しない。客寄せのオヤジの頑張りも、なかなか功を奏しない。ロンプラを真に受けてこちらに来てしまったが、失敗だったか・・・と、ユウコと2人イライラする。お客が集まらないと出発しないということなのだろうが、こんなことならスピードが遅くても8時半発の大型バスにすれば良かった。

なんとかお客が集まり、9時半に座席が全て埋まったところで出発。遅れを取り戻すべく、運転手のオヤジは街道をすっ飛ばす。速い速い。車は多少くたびれているが、シートも比較的維持されているし、飛ばしても揺れは少なく、中国のそれに比べるとはるかに快適だし、安心である。それでも「車内が汚い」とクレームを付け、お客になり損ねた地元民は多かったのだが、我々からすればむしろ清潔である。

 

ミニバスはイシククル湖の北岸街道を走り、13時、チョルポンアタという町に着く。観光案内のような看板もあり、なんとなく湖畔のリゾートのような雰囲気である。この町を過ぎた街道沿いで昼食休憩。小さな食堂があり、運転手のオヤジはそこで拌面のようなうどんを食べているが、他の客は食べない。持参した物を食べている人がいる。我々も持参したチョコを食べる。オヤジは5分で食事を終え、休憩時間は全部で15分。このあたり、中国新疆とはずいぶんと違うものだ。

 

カラコルには15時に到着した。所要時間は5時間半であった。大型バスでは8時間かかると聞いていたので、ずいぶん飛ばしたものだ。田舎町なので、バスターミナルとはいっても小さな建物があるだけだ。目の前には団地がある。ここにはKRD Tien Shanという旅行会社があるとのことで、情報収集がてら行ってみることにした。5階までの階段をウンウンと上がり、ブザーを押すが、土曜日のせいか誰も出ない。インターネットもできるのでは、と期待していたのだが、残念だ。

しかたがないので、とにかく宿探しに行く。市バスで街中まで出て、地図を頼りにHotel Stadionなるホテルに向かう。ここはスポーツ選手向けなのかどうかしらないが、ガイドによれば隣にジムもあるし、シャワーもサウナもあるし、安くて快適な宿とのことなのだが、我々が行ってみると、くたびれた平屋の木造建物があるのみであった。受付のオバチャンに聞くと、ここはたしかにHotel Stadionだと言う。が、空きがない。我々が困った顔をしていると、1つだけ「空き」があるようなことを言いだした。まあいいかと思ってその部屋へ行くと、部屋には鍵が無く、水場もなく、共同シャワーも「無い」と言う。トイレは建物の外にある、離れの汚い便所しかなく、ユウコが試しに行ってみたところによると「新疆以来の、久々にひどいトイレだね。夜中には決して行きたくないね」と言う。セキュリティにも衛生面にも非常に不安を感じるのだが、田舎町だし、これも我慢だと思ってチェックインすることにした。12人で100スム。5ドル弱である。

 

この宿を訪れて以来、フロントの脇で我々に視線を向ける10代後半の女の子が2人いた。我々のことを気にかけていたらしく、ユウコに話しかけてきた。「ここはひどいところだから泊まらない方が良い」と言うのである。街の中心にあるHotel Karakolのほうが、値段は少し高いがよほど清潔だという。しきりと「ホテルカラコルにしなさいよ」と薦めてくる。親切心なら嬉しいが、つまらぬ事ばかり考える。

一つ、彼女らはホテルカラコルの客引きなのではないか。一つ、ホテルカラコルにチェックインさせ、部屋を覚えて置いて、あとから空き巣に入るつもりではないか。一つ、同じように泊まった部屋を覚えておいて、あとからタカリに来るのではないか・・・。

ただ、僕としては、この宿には問題があるし、ユウコもイヤがっているので泊まるのは取りやめ、前払いした金を返してもらい、ホテルカラコルへと案内してもらうことにした。見た上で決めればよいことだ。

 

僕の考えは全くの邪推であった。彼女たちは単純に、外人である我々に興味を持っただけなのだ。しきりに質問をしてくるが、ロシア語なので分からない。僕が手にする会話帳にも興味を覚え、「ちょっと見せて」と2人して眺め、「あなたの目は綺麗ですね」とか「もう帰りたくない」とか、妙な質問を見つけては笑っている。

ホテルカラコルは、値段はちょうど2倍の200スムだが、古びてはいるものの清潔だし、鍵も水場もある。ただしお湯は出ない。「ここに泊まるよ」と言うと、2人はホッとした表情を見せた。そして一緒に散歩に出て、近くの公園で写真を撮り、メモ帳に住所を書いてもらった。ついでにおすすめの食堂も教えてもらう。別れたあとでその食堂へ行ってみると、メニューはあるがみな品切れで、今日はラグメン(拌面)しかできないという。しかし、久しぶりにうまいラグメンを食べた。

 

食事を終え、町を散歩し、宿に戻ると若い白人女性がフロントでもめている。ショートカットの金髪で、背は低い。彼女は英語で説明をしているのだが、フロントに座っている眼鏡をかけた太っちょのオバチャンはロシア語でまくしたててくる。これでは話がかみ合わないのではないかと思い、その女性に「どうしたんですか?」と英語で声をかけてみた。すると彼女が答える間もなく、ユウコが「あなた、ウズベキスタン大使館にいましたよね?」と声を挙げた。「あら、そうよ。アルマトイのね! 私もあなた方を覚えているわ!」 そして、事情はこうだ。「『鍵をなくしただろう』って言われているみたいなんだけど、私さっきチェックインしたところだから、鍵なんか持ってないのよ。あなたたち、ロシア語話せる? 私全然ダメなのよ。だから話が通じなくて困っているの」。

僕も「話せる」というほどではないが、まったくできない人に比べれば相対的には「話せる」ことになるので、改めてフロントのオバチャンから事情を聞いてみた。僕の理解では、「この若い娘さんは昨日から泊まっていて、今朝、鍵を持って出たはずなのに、今は持ってないと言っている。鍵をなくしたなら罰金を払ってくれないと困る」ということだ。これを白人女性に説明すると、彼女の反論はこうである。「朝にはここにいなかった。ついさっきチェックインしたばかりだ。鍵はフロントに預けてある」。部屋番号を確認し、レシートも見せると、フロントのおばちゃんの誤解は解けたらしく、ようやく円満解決を得た。

 この白人女性は、我々がウズベキスタン大使館に行きながらもビザを取れなかったあの日、我々の前の方に並んでいた3人の白人旅行者の1人である。話を聞くと、彼女はあの当日にアルマトイの空港に降り立ち、空港からタクシーでウズベキスタン大使館に行き、ふたたびタクシーでビシュケクを素通りしてカラコルまでやって来たのだそうだ。「だって、そうすればカザフスタンはトランジットで済むからビザは要らないし、ビシュケクのバスターミナルは警官がうるさいって聞いているから。それにタクシーの方が速いでしょ。安いしね!」彼女がカラコルに来たのは我々と同様、明日のカラコルの名物である日曜バザールを見るためである。そのあとはトレッキングにでも行くらしい。

 

近所の店でワインを買ったが、これが酸っぱくて大失敗。まるで酢だ。

ビールは中国からの輸入品である。キルギス東南部のナルインからは中国新疆、カシュガルへのルートがあり、そこを頑張って通る旅行者もいるが、いずれにせよ中国は近い。キルギス東部では中国品も手に入りやすいというわけだ。中国のビールを久しぶりに飲んだが、やはりうまい。が、輸入品なので値段は2倍になっていた。仕方がないが、妙な気分だ。

カラコルを拠点に湖や山を少しでも楽しむつもりでやって来たのは良いが、このホテルカラコルは湯が出ない。はじめはそれでも良いかと思っていたが、水のシャワーではさすがに心地よいものではなく、無理に洗えば体調を崩す可能性もある。ここの連泊はキビシイかな・・・と思っていたら、ユウコも気になっていたらしく、「明日は山の温泉に行こう」と言ってきた。ユウコが積極的に旅程の提案をするのは珍しいことだ。そこで明日は、午前中に日曜バザールを見たあと、日帰りで行こうと思っていた近場のアクスー・サナトリウムなる保養所へ行ってみることにした。「泊まれる」というふうにロンプラにも書いてあることだし・・・。2人で今後の予定を考える。当時のメモには、こうある。

13日(日) 午前中は日曜バザール 午後にサナトリウムに行き、宿泊

14日(月) 朝、カラコルへ戻る。スホーイ・フレベットでイシククル湖見物後、カラコルへ戻り、宿泊

15日(火) カラコルからビシュケクへ。Top Asiaを訪ね、アラアルチャ渓谷の情報を得る。ビシュケク泊

16日(水) アラアルチャ渓谷へ1日ハイキング ビシュケク泊

17日(木) ビシュケク滞在、夜行タクシーでオシュへ (車中泊)

18日(金) オシュ着 この日はノンビリ過ごす オシュ泊

19日(土) オシュ滞在

20日(日) オシュのバザールを見物 オシュ泊

21日(月) オシュからジャラルアバッドを経由してアルスランバブのバンガロー村へ アルスランバブ泊

22日(火) アルスランバブからジャラルアバッドへ。その後、夜行タクシーでビシュケクへ (車中泊)

23日(水) ビシュケク着 イラン大使館でビザを獲得する ビシュケク泊

24日(木) ビシュケクからアルマトイへ ウズベク大使館でビザを獲得する その後夜行バスでジャンブールへ (車中泊)

25日(金) ジャンブール着 ノンビリ過ごす ジャンブール泊

26日(土) アクスー・ジャバグリ自然公園へ行く ジャバグリ村で宿泊(英語も通じる快適なB&Bがあるという)

27日(日) アクスー・ジャバグリ自然公園を散策

28日(月) ジャバグリからシムケントを経由しトルキスタンへ トルキスタン泊

29日(火) トルキスタンからシムケントを経由し、ウズベク入国、タシケントへ。

こうなると、いよいよウズベキスタンだ。