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921日(月) オシュ 晴れ

 このままオシュからビシュケクにまっすぐ帰るのも芸がないので、もう1回、山に行こうということになった。オシュからジャラルアバッドの町へ、そしてバスを乗り換えバザールクルガンへ。さらに田舎バスに乗って、アルスランバブというウズベク人の村に行くと、トゥルバザ(バンガロー村、キャンプ場の意)がある。明日はそこで1泊し、翌日ジャラルアバッドまで降りて、ふたたび乗り合いタクシーでビシュケクに戻る。

 そのため、今日は早起き、6時半の起床である。

オシュには新旧2つのバスターミナルがあるが、旧ターミナルは近郊バスをもっぱらとし、ジャラルアバッドへ行くバスは、レーニン通りをバスで北上したところにある新バスターミナルから出る。

 

 新バスターミナルを8:00に出発し、一路ジャラルアバッドへ。途中ウズベキスタン領内に入る。まったく、街道をまっすぐ走っているのに国境線がぐにゃぐにゃしているのでこのように国境ゲートが存在するわけだが、出入国のチェックはほとんど無く、呑気なものだ。しかし、ビシュケクから来るときは、このようなゲートは一度も通っていなかった。回り道でもしているのだろうか。大型バスなら問題はないが、民間車、とくに乗り合いタクシーとあっては乗客の身分も分からないので、要らぬトラブルの元になるのかもしれない。

 

 ジャラルアバッドには9:30に到着した。バザールクルガンへの乗り継ぎバスはすぐに見つかり、休む間もなく9:40に発車。そして10:30、バザールクルガンに到着する。男の酒「カラ・バルタ」で友好の乾杯をしたアタベク氏の家のある、小さな町である。

アルスランバブへのバスの乗り継ぎにはまだ1時間近く時間があった。ユウコがトイレに行く間、バス乗り場で荷物番をしていると、アルスランバブ行きバスの運転手らしいおじさんが声をかけてきた。「1人か?」と聞くので「いや、妻がいる」と答える。やがてユウコが戻ってきたが、彼女を見るなりおじさんは「マーリンキィ!(ちいさいなぁ!)」と驚く。子ども達も好奇心を持って集まってくる。たしかに、ユウコは背が小さい。それにしても、カザフ・キルギスでは何処へ行っても「妻が小さい」と驚かれる。我々が乗り合いバスに乗ると、人々は我々を「兄妹か?」と聞いたり、ときには「親子」と間違われることもある。我々にとっては奇妙な話だが、横の子どもたちと見比べると、「ウーン、なるほど」と感じ入ることもある。

ユウコはもともと小柄だし、日本でも童顔に見られるのだから、国外ではますます年下に見られるのだろう。いっぽう、僕のほうはというと、ユウコに言わせれば「この国にいても背は高い方だ」し、日本でも年上に見られることが多い。それを考えると僕も納得して、「なるほど、親子ねえ。僕が10歳上に見られて、君が10歳下に見られれば、年の差は20になるから、たしかに親子ほどの差になるね」。

さらにこれは邪推だが、夫婦の背丈のアンバランスに驚いているのではないか、とも思う。ユウコと僕の背丈は頭一つ分も違うのだが、彼の国ではこういうカップルは稀なのではないか? とも考える。真相は分からないのだが。

 バザールクルガンを11:20に出発した。田舎のバスだから客も少なくノンビリ揺られて・・・と思っていたが、意に反してバスは満席。僕もユウコも席に座れない。おまけに道が悪いせいか、良く揺れる。手すりにつかまっているのが大変である。しかし30分も走るとだんだんに降りる人が出てきて、やがて席が空き、我々も座ることができた。

アルスランバブの村には13:00に到着した。ここまで乗ってきた客は少ない。我々は南からこの村に登ってきたのだが、坂道はさらに北へ続いている。いっぽう西へ向かう道もある。南北に延びる道のすぐ東側には渓流が流れている。おそらく、トゥルバザに行くにはここからさらに北へ歩くのだろうが、どれほどのものか分からないのでタクシーを拾った。20スムで5分ほど渓流沿いに北へ走り、着いたところはまさしくバンガロー村で、我々が降りたところに事務所らしい2階建ての建物があった。小さな映画館と食堂(チャイハナ)もある。事務所の向こう側に、スキーのゲレンデのように広がる斜面には、敷地のあちこちに小屋が建っている。さらに先には大きな山がそびえていた。これが4,427mのババッシュ・アタ峰なのであろう。

 

 我々はすでに3,000mを超えるところにいるはずなのだが、暑い。それでも、もはやシーズンオフなのか客はおらず、チャイハナも休み、映画館も休み。しばらく辺りを眺めていると、やがて事務所から人が出てきた。彼は英語を話せないが、泊まれるかどうか尋ねると「もちろん」という答えである。1130スム。約1.5ドルとは破格だ。当初、ビシュケクへの帰りにはジャラルアバッドの宿で1泊するかと考えたこともあったが、山に登らなくても自然に接することができるのは、我々にとって気分転換にもなるし、それになんといっても宿代が安く上がることに僕は喜んでいた。

事務所から5分ほど上がった小屋に案内された。小屋はまさしくほったて小屋で、トイレは少し坂を下ったところにある、粗末な木囲いの汲み取り便所で、アクスーを思い出す。が、ここはさすがにバンガロー村だけあって水場がある。それに見晴らしが良い。辺りには山羊やら牛やらがノンビリと草を食んでいる。

飲食物を買い出ししてこなかったのは失敗であった。そこでいったん山を下りることにした。歩いて30分、さきほどのバス停に着く。そのすぐ脇にキオスクがあり、僕らを見ると、売り子は嬉しそうに声をかけ、まわりにたむろしている暇そうな人々がそばに寄ってくる。子どもはじろじろ、大人はニコニコ。しかし店には大したものはなく、水もなく、しかたがないのでペットボトルのコーラを買う。バザールクルガンの売店にもろくなものが置いていなかったことを思うと、買い出しはオシュでやっておくべきだったと後悔する。

 

 我々の小屋からさらに5分ほどバンガロー村を上がると、やがて上側のゲートがあり、その外に1軒のチャイハナがあった。そこでお茶を所望すると「持っていってやるから小屋で待て」というようなことを言われる。戻って待つ。しかし、30分待っても来ない。聞き間違いだったのかと思っていると、やがてポット一杯のお茶を持ってきてくれた。

 

 事務所のおじさんから「風呂は8時からだ」と言われていたが、6時頃には薄暗くなってしまい、やることもなく、我々はもう寝たい。そこで事務所まで降りて「あのぅ」と声をかけると「風呂は8時だ。それまで待て」と追い払われてしまった。

 8時ちょうどにお迎えが来た。外に出ると真っ暗であるが、彼は明かりを持っていない。我々は懐中電灯なしに歩くことはできない。本当に何も見えないんだもの。よく見えるものだと感心してしまう。しかし、そのおかげで星がきれいに望める。風呂にはサウナとシャワーがあり、シャワーはぬるま湯しか出ないが、サウナはなかなか良かった。