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8月28日(金)  カシュガル 晴れ 移動日(ウルムチへ)

 移動日。

 ユウコは床屋におもむき、頭を軽くして帰ってきた。

 

 中国の子供たちはケツが割れている。ズボンが割れているのだ。子供といっても「幼児」というべきだろうが、とにかく、ズボンの尻の線に沿ってパックリと割れている。男子の場合、イチモツまでもが丸見えである。それはなんのためかというと、用を足すためなのだ。つまり赤子から幼児にかけて、オムツをつける習慣がないということになる。そして、走れるぐらいの年齢になっても(たぶん3歳ぐらいまでは)割れた状態でいる。自分の尿便意が判断できない赤子に対して、親はどういう対応をするのだろうか。単純に考えて、彼ら赤子は垂れ流しにするのだから、当然結果は親に・・・抱いてなければ周囲に・・・文字通り降りかかるはずだ。そして、尿便意をコントロールできる年頃になれば、その「割れ目」はもはや不要であろう・・・便所に行ってズボンを降ろせばいいのだから・・・と思うのだが、彼らはトイレに行かない。

それを証拠に、今日の飯時にはげんなりするような光景を見てしまった。

ユウコは天南賓館の裏手に商店街があることを発見した。折から昼飯時だったので、2人で歩いてみた。土産屋と飯屋がならんでいた。その中の漢人料理の店に入って、2人で麺を食べた。しかし、お互いの料理は辛口の上に、お世辞にも美味しい料理とは言えなかった。せっかく頼んだのだからと頑張って食べていると、お店の入り口の前に、小さな女の子がいることに気づいた。彼女は店の前の通りでやおらしゃがみこみ、そして割れた股間から小便を垂らした。店の前で垂れ流したのである。それどころか、彼女は用を済ませ立ち上がると、そのまま店に入ってきたのであった。この店の娘だったらしい。僕はなんとなく自分の体調がおかしくなったような気分になった。ユウコがクチャのトイレで果てしなく陰鬱になった気分が、少しばかり分かった気になった。

 

 飛行機の出発は21時20分だが、やることもないので早々と空港へ向かう。

 市バスでのんびりと行く。とちゅう、通学の中学生ぐらいの子供が乗ってきてにぎやかだ。我々はこれから飛行機に乗るというこのときに、こういう光景はなんだか奇妙であるが、心が和む。

 出発の3時間前とあっては客はほとんどいない。そして、空港の周りにはもちろん、建物の中にも興味を引くような店や物は何もない。待合いに腰掛け、ただ待つばかり。タシュクルガンからカシュガルで御一緒した50ぐらいのオジサン、そして留学生女子2人と出会った。彼らも同じ飛行機でウルムチに向かうという。「こういう田舎便は早いうちに席を取らないと、無くなるかもしれないよ」とオジサンに脅される。それにしても客も少ないし、そんなことあるもんかと思っていたら、出発時刻の1時間半ほど前になって忽然と客が増え始めた。

 航空路線図にはアルマトイ、ビシュケク、イスラマバード、カラチといった地名も見える。いよいよ、カザフスタンが近づいてきた。不安と期待とが入り混じる。

 機内は結局ほぼ満席になった。女子2人は「機内にもハエがいる!」と呆れている。

 

 中国新疆航空ではおみやげで扇子などが配られた。

 

ウルムチに着いたのは夜中の12時前で、どうなることやら不安であったが、荷物も無事出てきたし、空港を出るとバス(中国で良くある1boxバス)が待っていた。これは空港バス、いわばリムジンである。中心街の紅山まで6元。

夜中だというのに車の往来は多い。そして、紅山の一角は屋台街でにぎわっていた。大盛況だ。冷やかし半分に歩いていると、店の客引きから熱心に声がかかる。腹が減っている僕には、砂鍋、串焼き、餃子、包子、すべてが気になるが、今日はそれより宿の確保が先だ。

ところが頼みの紅山賓館は2人部屋の空きが無く、ドミトリーベッドは1つしか空いていないという。あとはスイートしかない。ここをあきらめると、ほかの安宿は遠い。近くには博格達賓館があるが、そこは、「歩き方」によれば決して安い宿ではなかった。しかし紅山のスイートよりはましだろう。というわけで、10分ほど歩いて行ってみる。だが、博格達賓館も2人部屋の空きが無く、スイートしか無いという。「これは困った・・・」と思っていると、別館のドミトリーが空いているという。9人部屋だが、1人45元。「9人部屋って、なんだ?」と思うが「仕切りがあるので」とかなんとか、フロントのお姉さんも愛想が良く親切なので感じはよい。とりあえず1泊して、先は明日考えようということにしてここに泊まることにした。

 

連れられた別棟とは2階建ての建物である。「9人部屋」と言われていたが、実際にはそれらが3部屋に仕切られていて、1つの部屋に3つのベッドがある。トイレ・シャワーはこの3部屋で共用だが、それはまるで高級ホテルのシャワールームである。バスタブもあるし、洗面も鏡台もしっかりしているし、きれいだし、そして石鹸やタオルがいっぱいあった。部屋の造りから察するに、これはもともと「スイート」として造られた高級部屋なのだが、客が少ないので急遽ドミトリに転向したのだろう。それでも、我々の部屋にはほかに客もおらず、隣の部屋に1人だけ客がいるらしいが、奥の部屋で寝ているから迷惑も少ない。なんだか思いもかけず得をした気分だ。