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1110日(火){819日}アルデビル 晴れのち曇り 南西強風

 

【タブリーズ行き】

 昨日よりぐっと寒い朝を迎えた。

 

 7時起床。サヴァリでテルミナルに向かうと、待っていたかのようにタブリーズ行きのバスがあり、我々が乗るとすぐに出発した。うねうねと丘陵を走るが、風が強く、砂塵が舞っている。風はバスの左手(南西)から吹いている。左手には山があるせいか、山岳波の雲(レンズ雲?)が出来ている。

街道を走る途中、ニール(Nir)という小さな町を通った。ここはイスラム保守が強いのか教育が徹底しているのか、沿道には「スピード落とせ」「シートベルト締めろ」という案内板よろしく「God is power」とか「God is great」とかいう看板が立っている。「ほほー、厳しいものだなあ」と感心していると、なかに

 

Down with U.S.A.

 

という看板があった。

すべて、公共事業によって建てられた立派な看板である。しかも、ペルシャ語表記よりも英語表記のほうが大きく書かれている。日本で言うなら、高速道路に「鬼畜米英」という看板があるようなものか。

 

タブリーズには13時に到着したが、ユウコは直前からお腹が痛くなったらしく、苦しんでいた。頑張れ。

 

 タブリーズのテルミナルは大きい。バス乗り場が50カ所はあるのではなかろうか。我々はここからトルコ国境を目前にしたマクーの街へ至り、さらに西進して、ついにトルコに入国する予定だ。マクー行きのバスの発車時刻および乗り場を確認して、街へ出るため市バスに乗る。

 

 バスNo.1 タブリーズ発マクー行き 730 1300 1430 1530

 

ところで、市バス乗り場の券売りには800リアル払ったはずのに4枚しかくれなかった。「おかしいぞ」と突っ返すと、苦笑しながらも改めて出てきたのは6枚だけ。金はもう払ってしまったので、いくら払ったかを証明できない。油断をしてやられてしまった。

 

【タブリーズはイラン第二の都市】

街中の適当なところでバスを降り、10分ほど歩いたホテル・モルヴァリドに宿を取る。建物は古いが、落ち着いた雰囲気で良い感じのホテルだ。

いったん昼食を取りに外へ出て、その後、ユウコはたまった洗濯をするために部屋に戻り、僕は散歩がてら郵便局へ行く。さすがにイラン第2の、そしてアゼルバイジャン地方の産業・貿易の中心都市とあって、しばらく田舎町をまわったあとだけに大都会という印象を与える。人々も、どこかしら洗練されているように見える。

おしゃれなショッピングセンターの中にDHLがあった。また、郵便局にはEMSがあり、こちらは混んでいる。これらだけ見ても、街の都会ぶりが分かる。

コートを見て回り、「これなら買ってもいいかな」と思えるものをいくつか見つけた。あらためて比較すると、アルデビルで見たコートはみなダサク、安っぽく、すぐにダメになりはしないかと不安な代物が多かった。ただ、どこの店でも値札がないので、値段の確認はできなかった。また、イマーム・ホメイニ通りを挟んだホテルの向かいに、軍用古着屋がある。ここに出ているコートは、見てくれは悪いが頑丈そうだ。これも候補とする。

 

 南よりの風のせいか、寒くはない。今日はタイツが無くても充分だ。暖かいとまではいかないが、風の調子は日本の春一番のようにも感じられる。

散歩は適当に切り上げ、部屋に戻って洗濯する。休養とバザール見物、それにコート物色のため、ここには2泊することにした。ホテル・モルヴァリドは静かで快適、それになんと言っても安い。これは外人料金を設定していないからなのだ。イスファハンで泊まったナグシェジャハーンだって、イラン人料金であればここと同じ値段なのだから。

 

 明日、タブリーズの銀行で米ドルのCash Advanceができるか聞いてみよう。ダメならばトルコに入ってからだ。その場合はトルコリラで良い。

 

**

 

1111日(水){820日}タブリーズ 曇りのち晴れ

 

 スチーム暖房が程良く効いているので部屋の中は暖かく、実に快適である。

ユウコは微熱があるとのことで午前中は休養にする。

ところで昨日、ホテルに戻ったところでフロントに声をかけられた。「もう1人、日本人が泊まっているぞ」というのである。宿帳を見せてもらうと、確かに「田中」という男性が泊まっていることが分かる。トルコから来たのであれば情報交換したいものだが、わざわざ部屋まで行くのもかえって怪しまれるかと思い、やめる。

 

【番外:真似っ子イラン】

 チートス→チートズ

 ペプシコーラ→パルシーコーラ

 ファンタ→ファナ

 ミリンダ→イランダ

 (前にも書いたが)サンドイッチ屋やピザ屋、ハンバーガー屋などに、バーガーキングとかドミノピザのポスターが掲げられていることがある。ポスターには英語で「ダブルバーガーセット3.99$!!」など書かれている。で、店はそれらのチェーンかというと全くそうではなく、どこからかで手に入れてきたものを、単なる飾りとして流用しているのだ。一方では「Down with U.S.A.」が堂々と看板に掲げられているのに対し、テレビではセサミストリートの真似番組(むろんペルシャ語)を放映していたりして、なんとなく矛盾を感じる。

 

テレビと言えば中国新疆では「一休さん」「トムソーヤの冒険」「みおつくし」などを見たが、イランでは「おしん」「ガンバの大冒険」「母を訪ねて三千里」など、ほかにも日本のアニメをいくつもやっている。そういえば、どこかで「赤毛のアン」を見たなあ。

 

【コートを買う】

 ユウコは午後になっても体が重い様子なので、僕は1人で散歩に出た。昨日、候補として挙げた古着屋のコートを再び見に行く。23つ試着してみると、どっしりと重いパワフルコートだ。値段を聞くと、80,000100,000と安い。胸回りが少し窮屈だが、なかなかよろしい。

まだ決めずに他の店も回ろうとしたところで、財布を部屋に忘れてきたことに気がついた。そこで部屋に戻るとユウコが外出支度をしている。「どうしたの?」と聞くと「なんだか1人じゃ退屈だから、追いかけようと思って」と言う。良いタイミングで戻ってきた。あらためて2人で買い物に出かける。

昨日のショッピングセンターにあるDHLオフィスを背に、ジョムフリエ・イスラーミー通りを挟んだ向かい側左手にある服屋で、なかなかのコートを発見した。値段は170,000と古着屋より高いが、その前に見てきた店よりは安い(みな200,000250,000という。アルデビルでもそうだった)。

軽いコートだ。身動きもしやすい。そしてけっこう厚手である。これはいいぞ。よって、これを第一候補とする。

その後ショッピングセンター内やバザールなどをまわるが、男性用コートはともかく、女性用のコートはおしゃれで薄手の物が多く、実用的ではない。しかも本人に合うサイズ(Sサイズ)が無い。「イランの女性は大きいのかねえ」とユウコがつぶやく。この街ではあきらめ、トルコで買うことにしてもよいのだが、如何せん寒がりなので、早めに準備にしておきたい。男物はサイズが合わないし・・・。

とりあえず、さっきの店に戻って僕の分を買った。「私のはジュニアサイズじゃないとだめなのかな」とユウコが笑う。

すると店のオヤジが「この人のコートも買ったらどうだ」と声をかけてきた。「2階にもまだまだ品物があるから、ちょっと見てごらん」と階段を上がる。そこで見た中に「オッ」と思う物を発見した。2つ目なので少しまけてもらう。これで、冬に向けての大きな懸案が解決した。あとは足回りだが、土方が使うような防寒ズボンか、スキーズボンのような、上から重ね着できるのがよいのではないかと思っている。今のところ、2人ともタイツを穿いて充分なので、これはまだ先の話でいいだろう。

 

【酒無し1ヶ月】

 イランに1ヶ月、大きなトラブルもなくここまで来られた。トルコでも頑張ろう。トルコでの旅の予算は、中国並と考えれば良いだろう。観光に多少金がかかるかもしれないが。

 おかしなもので、1ヶ月のあいだ酒なしでやってこられた、つまり酒無しでも充分生活することができるのだ。半面、トルコで酒が飲めると思うと、それが妙に楽しみでもある。

 

**

 

1112日(木){821日}タブリーズ 曇り

 

【久しぶりのテレビニュース、よみがえるイラン初日の感動】

 ここタブリーズでは久しぶりにテレビ付きの部屋なので、言葉は分からないが朝からニュースを見られるのが嬉しい。毎正時に流れる朝のニュースのテーマも久しぶりに聞いて、なぜかしら懐かしさを覚える。これを初めて聞いたのは、テヘランのホテルミラで一夜を明かし、1階の食堂で朝食をとっているときだった。我々のイランの旅はこのテーマに始まり、このテーマに終わるのだ。

 

さて、朝の天気予報によると、ペルシャ湾岸のアフワズ地方を除いてみな712℃と寒い(アフワズは20℃代)。ただ、これが最低気温なのか最高気温なのか、朝の実況なのか昼間の予想気温なのか、区別がつかなかった。

 そして、昨日も今日も「ガンバの大冒険」の最終回をやっている。

 

【トルコをめざし、西へ】

 11時にチェックアウトし、市バスに乗り込んでテルミナルへ向かう。バスは混んでおり、ユウコは次のバスに回されてしまった。テルミナルで待ち合わせ、12時。しかし13時発のマクー行きのチケットは売り切れ! 仕方なく次のバスのチケットを買う。14時半まで待つ羽目になってしまった。ところが13時に出るというバスを恨めしく乗り場で見ていると、その直前に、やはりマクー行きの別のバスが出ていった。しかも空席がある。チケットを買っていなければ飛び乗ることもできたが・・・慌てて買ったのは失敗だったか。

 

【国境の町、マクーにて一泊】

 マクーまでの道は山がちかと思っていたが、そうでもない。乾燥地ではあるが、併走する川の周囲は農耕地になっており、ここでも放牧された牛や羊が呑気に草を食んでいる。並木のポプラはすっかり葉を落とし、羊はまるまると太り、冬が近いことを感じさせる。

 マクーには泊まらず、このまま国境を越えてしまおうと思っていたのだが、「これだと国境を越えるころには暗くなってしまうね」とユウコが言う。そうするとアララト山が見えない。それはあまりにも勿体ないので、マクーに1泊することにした。これで明日イランを出れば、30日有効のツーリストビザをキッチリ使い切る格好になる。「アラーの神が『ゆっくりしていけ』と言っているんだよ」とユウコ。

 ホテル・アルヴァンドに泊まる。シャワー・トイレ共同とのことだが、今夜は断水のためシャワーは浴びられない。値段を聞く前に確認しなかったので、ちょっと割高だったかと思う。夕食は今日もチキンとケーキ。「ビールは明日にお預けだね」とユウコが笑う。僕よりも、彼女のほうが楽しみにしているようだ。

 ユウコのスカーフ、ワンピース姿、そして僕のヒゲ面も、明日国境を越えればおしまいだ。部屋で記念撮影をおこなった。