1月15日(金)クラクフ 曇りときどき雨
今日は成人の日、ということは、日本では3連休だ。
【今日はクラクフの一日観光】
クラクフには4泊することにしたが、そのうち1日はアウシュビッツへ出かけ、別の1日にはポーランド最大の巡礼地チェンスタホヴァへ行くことにしている。しかし、今日は天気が悪いので遠出はせず、市内観光とする。
まずは旧市街の中心、中央市場広場に面した聖マリア教会へ行く。
1222年に建てられたゴシック様式の教会で、高くそびえる2本の塔が立派だが、セレモニー中とのことで中には入れず。
この教会にはひとつ曰くがある。その昔、モンゴル軍がポーランドに侵入し、このクラクフにも軍勢が迫った。教会の塔にいた物見がいちはやくそれに気づき、緊急事態を知らせるラッパを吹いた。しかし、その警告ラッパに気づいたモンゴル兵が矢を放ち、ラッパ手の喉を射てしまった。そのため、ラッパ手は警告のメロディを最後まで吹くことができずに倒れてしまった。この教会の搭からは今でも時報がわりにラッパを吹き鳴らすのだが、そんなわけで、いつも途中で吹き止めてしまう、というのである。その伝統は14世紀以来続いているのだそうだが、日中とあっては街の喧噪にかき消され、よく聞こえない。
ヴァヴェル城へ行く。王宮には18世紀の王様ジグムント3世のコレクションが多い。とくにブリュッセル製のタペストリーがいかしている。やたらとでかく、ジャングルをイメージしているのか猛獣が多い。龍もいる。後半の部屋には内装も当時のまま残っており、天井画が美しい。意外にも、きらびやかな雰囲気はない。
それに比べて大聖堂は、質実剛健というか、白黒を基調とする内装は立派である。中央は改装中であった。ドイツの影響を受けているのか、優雅さが少ないのはスロヴァキアにもどこか通じるところがある。上に登れば鐘があり、地下には王墓があり、立派である。ちなみに王宮の絨毯はペルシャ製とのことで、近いハンガリーやトルコの産物でないところが興味深い。
王宮で、地元のちびっ子ツアーに出会った。彼らの中には我々に興味を持って、じっと見つめる少年少女もいる。が、どこかの国のようにくすくす笑ったり、指を指したり、ゲラゲラすることは決してなく、おとなしい。こちらが見返して笑いかけると、はにかむばかりである。かわいいものだ。それでも挨拶運動はしっかりしており、なにかにつけて「プロシェン(ちょっとすいません)」「デェンクェン(ありがとう)」と、はっきり言ってくれるのが嬉しい。言葉ができたらきっと大いに喜ぶだろうなと思うと、少し残念ではある。
昨日のレストランが気に入って、今日も行く。CDからポーランド民謡が流れてくる。スロヴァキアで聴いた、なんとなくアフリカチックのフヤラに似た浪曲風のものあり、また、ハンガリー(トランシルヴァニア)と似たものあり。しかし音使いにはどちらにも共通している部分があり、それがポーランド独特なのだろうと思う。
ユダヤ人地区カジミエーシュへと歩く。下町という感じである。広場にマーケットあり。
シナゴーグはいくつもあるが、立派なものもあれば、ただ古っちいものもある。今は博物館となっている、15世紀の建築というシナゴーグは外見こそ美しいが、あいにく内装は修理中とのことで見られず。
近所のカフェArielへ行く。立派なカフェで、値段も立派だった。やはりちゃんとしたところの食事はこんなものか?と思う。安いカフェテリアでもいいんだけどな・・・しかし、値段が大したことだけあって、味はバツグンに良い。
再び聖マリア教会へと赴く。今度はビジターでも入れた。信者の入り口と分けられている。ヨーロッパ第2の高さを誇る木造の聖壇は、中央部が修復中で幕が掛かっている。観音開きの扉(翼)の彫刻は見ることができた。大きな教会だが、内部では、敬虔な信者と、我々のような野次馬見物客とは混じらないように順路が分けられている。しかも、横目で見ていると、信者たちは相当真面目にお祈りを捧げている。ピリピリとした空気も感じられる。午前中に行われていたセレモニーでは、全体を使うのであろう。ちなみにポーランドはカトリックだ。
買い物をして、早い時間に部屋に戻った。まだ明るいので僕は1人で買い物に出た。近所に大きなマーケットを発見。スーパーもある。スーパーでNo GasのBONAQUAを発見した。
ビールはスーパーで買っても2.6Zt、税金を乗せると3Zt程度になる。国産のくせにずいぶんと高い。オコチムは美味いからいいけど。レストランでも3〜4Ztして「高いなあ」と思っていたが、むしろ良心的というべきだろうか。
ビールに限らず、全般に物価は高いと思う。そのいっぽう、プリングルスは他のどの国よりも安い。ロング缶が5.49Zt≒1.6ドル。他国では平均して2.5〜3ドル相当であった。トルコでは3ドル以上したと思う。そうそう、クラクフの物価はイスタンブール並なのだ!
どうでもいいが、プリングルスには英・仏・露・リトアニア・ラトヴィア・エストニア、そしてポーランド語の表記があった。
今日の王宮と、とちゅう通りがかったチャルトリスキ美術館は、日曜日には入場無料になるらしい。そのチャリトリスキ美術館だが、ここには世界に3枚しかないという、ダ・ヴィンチの油絵の1つがある。「白テンを抱く貴婦人」という。時間もあるので試しに観てやろうと思ったのだが、門前にはその絵のポスターが張り出され、「現在、イタリアに貸出中」との案内がある。今日はローマ、明日はミラノ、その次はフィレンツェと、行き先予定表までついている。我々はポスターで充分である。中には入らなかった。
【明日の予定】
鉄道駅で時刻表を確かめる。明日、オシフィエンチム(アウシュビッツ)に行くには、
クラクフ・プワショフ駅から;
5:57発 7:33着
7:46発 9:24着
クラクフ中央駅から;
8:55発 9:45着
バスは8時半から1時間おきにある。
時刻表その他:
クラクフ9:02−(3602)→ブロツラフ13:06
クラクフ9:41−(E34106)→チェンスタホヴァ11:40
明日はいよいよアウシュビッツ〜ビルケナウのツアーだ。自力で行くので、オシフィエンチムでは帰りの列車をチェックするのを忘れないようにしないといけない。そしてビジターセンターでは英語案内やフィルムをチェック。日本語のブックレットも買おう。アウシュビッツからビルケナウまでは2kmあるというが、頑張って歩こう。
【クラクフは、どうも・・・】
今日は風が強い、とくに旧市街を出ると、ビックリする。内部は建物に囲まれているおかげか?
クラクフは大きな建物が多く、歴史があるといえば聞こえはいいが、どうも古ぼけた感もあり、「大づくり」という点ではブカレストに似たところを感じる。ただし、広場の美しさは別物で、アレはブカレストにはない。
それにしても、今の我々にとってはかえってコシツェ、あるいはブラショフのほうがよほど綺麗で良い街のような気がする。「大戦でやられていない」を売りにするとしても、プラハには遠く及ばない。天気が悪いから、余計に暗く感じられるのか?
でも、だとすればワルシャワはどうなのだろう。「危険だ」「見るものはない」ということで避けているが、ちょっと確かめに行きたい気もする。一目でいいから、(違いがあるならば)クラクフとの違いを、確認してみたいものだ。