ルーマニア1(No.63)ルーマニアふたり旅〜シナイア

【ブカレストに見るところはない】

1214日(晴れ)

ルーマニアへ。ルセの街では朝5時からトラムや市バスが走っている。そして駅にはけっこう人がいる。こんなに早朝でも、待合室は座るところを探すのに苦労するくらい人々があふれている。そして、待合室の中は、外にいるよりはましだが、結構寒い。そんな寒い中でもここで夜をあかしたのだろうか、浮浪者風の人がベンチに寝転がっていたりする。

ブカレスト行きは5時半にソフィアから到着し、625分にルセを出発するらしい。

「もう列車がきているなら、この待合室にいるよりも乗り込んだ方がいいね」と、残りのレヴァを使い切ってホームへ行く。

さっそく列車に乗り込もうとすると、警官に「先にパスポートコントロールに行きなさい」と言われる。よく見ると、たしかにホーム内にパスポートコントロールがある。しかし、入り口が黒山の人だかりだ。もし、待合室が快適で、出発ぎりぎりまでそこでのんびりしていたら、出国手続きが間に合わず、列車に乗り遅れてしまっただろう。「早く来ておいてよかったねえ。」と2人で話す。警官が私たちの存在を確認したようで、他の人たちをおしのけ、近づいて、パスポートを持って去っていった。パスポートを持っていかれてしまったことに、若干不安は残るが、仕方ない。心配するまでもなく、すぐに出国のハンコがポンと押されて還ってきた。

さあ、こんどこそ列車に乗り込もう、とチケットを片手に指定された車両を探すが、私たちが乗るはずの車両番号の車両がない。適当に列車に乗り込んで通路を歩く。すると、通路にいる人たちから「Chin? Japon?」「チョンチンチャンチョンチン」という声が。来ました、久々のエセ中国人攻撃。とっさに外国人をおちょくることに、ブルガリア人との文化の違いを感じる。

一番端の車両まで行ってもチケットにある車両が見あたらないので行き詰まっていると「Where are you from?」と話しかけてくる人がいる。さすが、ルーマニア人、おしゃべり好き・・・と思っていたら「I’m from Greek」との答え。ギリシャ人の青年であった。私は18歳に見える、などと言われる。彼とたわいないおしゃべりをしていると「ガチャン」と大きな音がして、人々が再び移動を始めた。ルセから増設される連結車両が接続されたのだ。つまり、チケットにある番号のついた車両はここから接続だったのだ。

私たちと同じコンパートメントにはブルガリア人6人。しかし、皆トルコ語で会話している。パスポートには出入国を繰り返したスタンプがいっぱい。皆チケットなしで乗車し、車掌が来たらお金を払っている。入国時の警官にもわいろ。10000レイか50000レイ札を渡しているので、1ドルくらいの賄賂だと思われる。荷物検査に来る軍人にも賄賂。商人のようだが、謎の人たちだ。私たちの入国については問題なし。ルーマニア側の入国審査は電車に乗ったまま行われた。警官に「どこに行くんだ?」と聞かれ、マサトが「シナイアやブラショフに行く」と言うと、「それはいい。ブカレストなんか見るところ無い。すぐにブラショフに行け」と言われた。ブカレストには9時前に着いてしまった。駅構内ですぐに両替をし。切符を買ってシナイアへ。警官のいうとおり、すぐに別の場所へ移動だ。首都見物をしないのはちょっと残念だが、以前ルーマニアを旅行したマサトからも「ブカレストのつまらなさ」を聞いていたので、本当につまらない街なのだろう。

シナイアに着くと駅のホームでプライベートルームの客引きに会い、2つめに見せてもらった家に御世話になることにする。運良く綺麗で快適な部屋に当たってよかった。今日は天気がいいので気持ちいい。そしてとても暖かい。ここではスキーを楽しむ予定だ。スキーレンタルとゲレンデの確認のため、中心街のホテルシナイアへ。ここに入っている旅行代理店によると、スキーは明日ならできるそうだ。ウェアはこれからの防寒服を兼ねて、ズボンを買うつもりである。ホテルの向かいにあるデパートでスキーウェアを探す。スポーツ用品コーナーの大人用スキーウェアは高いし、デザインも気に入らないが、子供服売場のウェアで黒のシンプルなスキーズボンを発見!一番大きいサイズなら、私には全く問題ない。子ども向けで安いし、大満足。スキーのうまいマサトはレインコートのズボンを穿けば問題ない(私のように転ばない)ので買わない。

近くにある素敵なレストランで食事。しかも安い&ワインがうまい!!すっかり酔っぱらって、ごきげんである。今日はMuscat ottnel 1995Tarnave)というワインを飲み、モルダヴィア風シチュー(ソーセージと牛肉と豚肉の煮込み)にママリガとタマゴを添えたものとサルマーレにフライドポテトを添えたものを食べた。2人で10ドル。Good!!けっこう食事で贅沢をしたが、宿代が安いため、気が大きくなっている・・・か?

 

SKI!SKI!!

1215日(曇り時々雪)

今日はスキー!!朝9時にホテルシナイアに行くが、レンタルスキーショップは閉まっている。

旅行代理店の人は「ケーブルカー山麓駅近くのホテルモンタナに行け」というので、そちらへ行く。

ホテルモンタナでは「ケーブルカー中腹駅のホテルアルペンに行け」と言われたので、とりあえずケーブルカーに乗る。山はガスっている。雪はまだ少ない。

ホテルアルペンに行くと「ケーブルカー中腹駅でレンタルスキーはやっている」といわれ、うりうりと戻る。たらいまわしだ。

確かに中腹駅の地下にレンタルスキーを扱っているコーナーがある。16ドル相当のレイでスキー・ストック・ブーツの一式を借りられた。やっと滑れるぞ!

再びケーブルカーで2000メートルまで上がる。うまい人についていくが、リフトは1本しか動いていない。そこで4回ほど滑る。雪は凍っているが、さらさらではない。しかし、2〜3回すべると馴れてくる。日本のゲレンデと違って、少々草が見えているところでも「ゴリッ」といわない。しかし、あきらかにコース外のところもある。どうやら今日が「スキー開き」だったようで、滑れるコースは山の上の方では1本。リフトの乗り場側にあるカフェもテーブル作りに忙しい。リフトは1回毎にお金を支払うシステムなので、常に動かしているのではなく、お客が来たら動かすという感じ。お客の方もあんまり頻繁に乗るとお金がかかってしまうので、休み休み乗っている。しかし、初滑り。とても楽しかった。このスキー場で雪が少ないとは言っても、日本ではクリスマス頃でも苗場あたりじゃまだ雪が少ないのだから、ごりごりいわないだけまだましだ。やはり日本に比べると、ルーマニアは寒い国で雪が多いのだなと思う。

麓へ降り、昨日のレストランで食事。牛のミノスープはちょっと面白い味。酸っぱくて臭う。あと、フライドチキン、ピザを食べた。

 

【ルーマニアのお酒といえば】

今日のワインはMurfatlar Pinot Gris。おいしい!

プライベートルームのホストは小さな商店もやっているので、マサトが「ツイカを買いたいのですが」というと、「ツイカはない。パリンカ(ツイカよりアルコール度数が高い)はある。」といわれ、それを買う。プラムウォッカといったところか。スキー場のカフェでは、ツイカ1杯の値段よりもネスカフェ1杯の方が高かった。あとで気がついて「ツイカにすればよかった・・・」と悔やむマサト。

 

【旅先で迎えた27歳 犬に導かれて】

1216日(晴れ)

Happy Birthday マサト!!(27歳)

シナイアのプライベートルームを8時過ぎにチェックアウトし、駅に荷物を預け、シナイア僧院へ。駅近くで会った野良犬が「道案内しましょう」とばかりについてくる。

シナイア僧院は美しい。壁のフレスコ画はブルガリアのものよりも少々やわらかく見える。(若干印象派的タッチだ)敬虔な人たちが朝早くから祈りを捧げ、修道士達の歌う賛美歌がものものしい。信者は祈りを捧げるとき、何度も十字架を切り、2〜3回ひざまずく。というか、手を下につける。いわゆる「おじぎ」だ。これが儒教やイスラム教のおじぎを思わせる。キリスト教徒って、みんなあんな風におじぎするものなのかしら?それともここの宗教がイスラム教の影響を受けているのか?

僧院を出ると、先ほどの犬が待ちかまえていて、私たちを先導してペレシュ城へ。ペリショール城、フリショール城は休みで見られなかった。私は何も言っていないのに、入場料が学生扱い(Lucky!)。童顔も旅では役立つものだ。英語ガイド付きで回る。この城に160の部屋があるが、公開しているのは1階のみ。しかし、重厚で品のあるつくりが美しい。アジアから西に来て、どんどん芸術の質が上がっている気がする。「ルーマニアは田舎だ」といっても、これだけ美しいものがあるのだからすごい。日本からもこの城へ有田焼などの贈り物がある。ペルシャやトルコの金ピカダイニングに比べ、チークで茶一色のダイニングテーブル&椅子のシックなつくりがすばらしい。レセプションルームの彫刻もすごい。

 

(つづく)