26日(土) ムルマンスク 快晴

 

【のんびりムルマンスク、極寒ムルマンスク】

 宿を1泊延長することにした。

 モスクワへのフライトを予約する必要がある。

このホテルのフロント横にもアエロカッサ(ではなくて、АВИА КАССЫ)があるが、「今日は土曜日なので休み」とフロントに言われ、向かいの立派なホテルArktikaのカッサへ行く。

するとここでは、「土曜日だからコンピュータが働かない。当日券しか買えません」と言われ、教えられるままレーニン通り19番地のアエロカッサに行くことにした。

バスなら18番、トロリなら36番。ホテルのすぐそばにバス停がある。

Детский Мир(子どもの世界)からさらに1つ、Универмаг Мурманск(ムルマンスクデパート)の前で降りる。

アエロカッサは綺麗なオフィスだが、1階のカウンターでは「予約は2階へ」と愛想がない。あるいは「外人は2階へ」だったのかもしれないが、いずれにせよ2階の国際カウンターでチケットを入手できた!

ちなみに、理由は分からないが、月・水・金のフライトだと割引サービスがあるらしい。明日は日曜日である。ざんねん。料金は1880ルーブル+TAX

 

街の中心へ戻り、ホテルArktikaのレストランで昼食(バイキング形式だった)。

その後、ムルマンスク名物(?)といわれている「アリョーシャ」を見に行く。

これは街の北にある丘の上に立つ、高さ40mの兵士の像のことで、第2次大戦下に北極圏防衛のために戦った赤軍兵士を祀るため、1972年に作られたものだそうだ。

しかし我々は、じつはアリョーシャではなく、その近所にある「パノラマレストラン」に惹かれていたのだった。

「夜景が綺麗で、予約が必要」とロンプラにあるそのレストランの下見に行くのである。

そこでホテルArktikaのそばのバス停からトロリ3番に乗っていく。

席に座って地図を片手に「次かなまだかな」と話していたら、そばにいたオニイサンが英語で「アリョーシャに行くの? このMAPに出ているバス停は次だヨ」と教えてくれた!!

 

バスを降りる。サムーイ!! 顔が痛い。

 

しかし残念ながらパノラマレストランはРЕМОНТ(修復休業中)。

たしかに、レストランの前に立つと眼下に街が広がり、景色は良い。ちょっとモヤが出ていた。

セミョノフスカヤ湖の向こうに立つアリョーシャがぼんやりと見える。

 

その湖だが、凍って真っ白、真っ平らな平原になっており、湖と言われなければ分からない。

湖岸に近づいてみると、湖上を歩く人あり、また、クロスカントリーをするオジサンもいた。

 

それにしても寒い。

サムイサムイ。

足がちぎれる。

 

足がこわばるのか、ズボンが凍ってくるのか、動きがぎこちなくなってくる。

ダイヤモンドダストが当たり前のように舞っている。

たまらず近くのマガジンに入る。あたたかーい。

1分もすると、こわばっていた足がホワーンと融けて軽くなった。

 

寒いとお腹が空くのか、宿に戻って、今度はホテルMeridian4階にあるビュフェで食事。

サリャンカに続いてカレイの揚げ物を食べた。うまい。

また、今日はホテルの1階の隅にかなり大きなバー&酒屋があることを発見、嬉しくなってウォッカやらワインやら買う。

部屋に戻り、ウォトカで乾杯。

TVではオランダで開かれているらしい国際スケート大会をやっている。

 

TVを見ながらウォトカを飲み、ユウコと話す。

スキー場のダイヤモンドダストとか、山小屋でオーロラを見るとか、日本においては、とかく冬の見物はロマンチックで雰囲気も盛り上がるようなアピールが多い。しかし、ここはどうだろう。人々は皆、日常生活を送っている中、バスを待てばダイヤモンドダストが降り、夜な夜な酔い歩けば、空にはオーロラが光る。ちっとも有り難くない。誰も感動していない。今日も明日もそうなのだから。でも、なんだかそれが良いのだ。

そしてオーロラは今日も波打った。今夜は19時〜19時半ぐらいにかけて見え、昨日よりも頭上高く、天頂近くで見えた。ほんとうは車を拾って、それこそアリョーシャのような高台で照明もないところで見ればはっきりするのだが、我々は横着をして、街中のホテルの窓から身を乗り出してオーロラを見ている。地上の照明が明るい。よって、あれが本当に本物のオーロラなのか、今ひとつ確信にかける。じつは低い雲なのかもしれない。工場の煙のようにも見える。煙に街の明かりが反射して色づいているようにも思える。だけども、よくよく見ると、近くに出ている本物の雲とは明らかに色や形状が違うし、それにやっぱり動いている(ウネウネと波打っている)のだから、そうなのに違いない。

誰かがやおら立ち止まり、空を見上げて「あっ、オーロラだ!」とでも叫んでくれたら、どんなに嬉しいか、心強いかと思う。

動きが止まって、バーンと「はい! オーロラです!」というわけでもないし、つまり、なーんだかあるんだかないんだかはっきりしないのだけど、それでもやっぱり動いているのだ。

 

ムルマンスクに来た目的がオーロラ見物だったこともあるが、寒いことも手伝って、ここ23日は外もあまり出歩かず、朝もゆっくりだし、夕方は部屋で呑気にTVを見たりして、酒を飲んで酔っぱらったり、要するに思いもかけずのんびりできた。こんなにのんびりと時間を過ごしたのは久しぶりではないかと思う。もっとも、だからこそユウコが体をこわしたわけだが・・・ゴメンナサイ。思えば、旅の道中でこんなにのんびりと、明日の予定も気にせず過ごしたのも珍しいのではないか。明日はモスクワ行きだから早起きなんだけど。

 

 ウォッカは30-36。プリングルスは30。やはりウォッカが安いのだが、今日はウォッカ1本にワイン1本を飲んだ。昨日はシャンパン2本、ビール3本といったところ。

 インチキ温度計による観測。8階の部屋の窓の外は−28℃。地上はもっと寒いと思われる。−3035℃といったところか。