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1127日(金) セルチュク 曇り

 

 昨日、意気揚々と洗濯をしてベランダに干したのだが、夜中に雨が降って、すっかりびしょぬれになってしまった。日中の晴天を期待したい。

朝食を取りに1階へ下りるとオバアチャンが1人、我々を待っていたかのように出してくれた。自家製と思われるジャムや、バター、チーズなど出され、どれも美味しい。

 

【隣のペンションと日本人と病院】

ところで昨日、我々がチェックインをしたとき、この部屋にザックが1つ置いてあった。ジイサンは「日本人のだ。今日はイズミルに行っている」と語っていた。そんなことを思い出しながら朝食を取る我々に、オバアチャンが語る。

 

「隣のエユップにはマフィアがいる。こないだも、ホントはうちに泊まるはずの日本人が、向こうの客引きに連れられ、金とパスポートが盗まれた。夜、扉をたたく音がするので出てみると、彼が『ドクター、ドクター』と言っている。それでイズミルの病院に連れていった。隣はマフィアだ。とても悪い」。

 

夜中に強盗に入られたということらしいのだが、オバアチャンのジェスチャーから察するに、一服盛られて腹をやられたか、あるいは腹を刺されたか。気の毒な話だが、ふと昨日のザックを思い出した。あのザックは、アニ遺跡を一緒に回ったY君のものと非常によく似ていた。というか、Y君のザックだったのではあるまいか。それで昨日は「へぇ、Y君はイズミルへ日帰りか」と呑気に思っていたのだが、おかしい。

一介の旅行者が、イズミルにわざわざ日帰りで行く用事なんてあるのだろうか。だいいち、日帰りならばザックは部屋に置いていけば良いではないか。あらぬ想像が膨らんでくる。彼がイズミルに行ったのは病院のためで、つまり襲われたのはY君ではないのか?

そんなことを考えていると、オバアチャンが話を続けた。

「この街はカーペット屋もタクシーもみんな悪い。『エフェスまで送迎』なんて、乗っちゃダメ。3kmなんだから、歩けるよ」。

さすがに気が引き締まる。

 

【そしてエフェス見物】

 そういうわけもあって、エフェス見物には歩いて行った。

大きな遺跡で、団体客も多く、団体ツアーを案内するガイドさんによる英語の説明に横耳を立てながら見て回る。アルカディアン通り、大劇場、ケルスス図書館、娼館、ハドリアヌス神殿、トラヤヌスの泉、ヘラクレス門、アゴラ、トイレの跡、大浴場、大理石の彫刻、コリント式、イオニア式列柱など、見応えはあり、素晴らしいのだが、なんとなく飽きてきた。

パムッカレのヒエラポリスとは規模もぜんぜん違うので比較すること自体が適切でないかもしれないが、同時代の遺跡と考えると、「うーん、こないだ見たのといっしょだなー」と思ってしまう。その点、イランのペルセポリスは、この目にズシンと来たものだが・・・。

 

【床屋に買い物】

聖母マリアが住んでいたといわれる家には行かず、セルチュクの街に戻って、ペンションで借りてきた「歩き方」のうち、イスタンブールから西の部分のコピーを取り、両替をし、そして床屋に出かける。

床屋では言葉は要らない。ユウコは座って様子を見ている。

「だいぶいい感じになってきたなー」と思ったが、オヤジは手を休めずどんどん刈り上げ、とうとうスポーツ刈りになった。ずいぶんと短くなったが、おかげでサッパリした。散髪を終えすっきりした僕を見ていたユウコが「私も美容院に行こうかなー」と、ペンションのオバチャンに近所の美容院を教えてもらい、マッシュルームカットのサッパリヘアで戻ってきた。

 

 セルチュクのスーパーで買い物。ワイン、ビールだけ見ても、20%ほど安い。ヤクート814,000、エフェス195,000

 

 トルコはいまいち何か欠ける気がずっとしていたが、その理由としては @(オフシーズンとはいえ)観光客が多い。A英語がよく通じる。つまり、旅の苦労が少ないせいかもしれない。どこへでも簡単に行けてしまうし、言語の困難も無いことが大きい。ほとんど英語で事足りてしまうので、意識して使わない限り、「歩き方」のトルコ語会話帳の出番がない。『トルコ語を覚えなくても旅ができる』のだ。そういったことから、達成感みたいなのが薄いのかもしれない。便利ゆえの物足りなさということか・・・。

我ながら都合の良いことばかり考えているものだ。今までさんざん英語が通じず「あんたら少しは勉強しろ」と思っていたのに!

トルコでは日本語だって通じる。まあ、イランでも通じる相手はいたが。

 

【イスタンブールへ】

セルチュクからイスタンブールへの直行バスは出発が遅く、一番バスは9時半とのこと。いっぽう、イズミルまでのミニバスは朝6時半が始発で20分おきにあるので、これに乗ってイズミルでバスをつかまえることにした。

 

まもなく、もうすぐ、イスタンブールだ。「夢にまで見た」というほどまでは書けないが、しかしやはり、出発当初はここまで来られるかどうかさえ疑問だったことを思うと、感慨深い。なんとなく、「帰ってきた」という心境でもある。明日無事にたどり着けば、日本を出て丸4ヶ月、123日目でイスタンブールに到着ということになる。

 

 イスタンブールでの見物予定(曜日を考慮して)

日曜:午前中はスルタンアフメトジャミイとアヤソフィア

午後はメヴラーナ博物館の旋回舞踏(月末日曜しかやらないものが見られる!)

  時間があれば軍事博物館も

月曜:午前中は日本大使館へ。うまくいけばトプカプ宮殿を見る。時間が少なければカーリエ・モザイク博物館へ行く。

火曜:(トプカプ宮殿)、考古学博物館? 軍事博物館? ドルマパフチェ宮殿

水曜:ここでトプカプ宮殿

など。

 

【エフェス顛末】

 Y君と思われる日本人がイズミルに行っていたというのは僕の勘違いで、彼はエフェスに行っていた。これはユウコの指摘による。だから被害にあったのは彼ではない。そして、病院事件が起きたのは「先日」ではなくて「昨晩」のことだった。これもユウコの指摘による。彼女は昨日の夜中、階下でザワザワしている様子に気がついたらしい。それで朝はオバアチャンしかいなかったのだ。夕方はみんな揃っていたが、ジイサンもアヤちゃんのオネエサンという女性も、心なしかずいぶんと疲れているように見えた。

「明日は朝早く、6時半のバスに乗りますので・・・」朝食は要りません、と言うつもりが、

「じゃあ、その前に朝御飯を食べていくと良いわ」とアッサリ返された。

「ママ、5時、スリープフィニッシュ、ノープロブレム」なのだそうだ。

 

ところで、ギョレメにしろエフェスにしろ、犬猫が多い話は「歩き方」にも紹介されているとおりだが、今日はユウコのサブザックには携帯食としてのパン(エキメッキ)が入っていたせいか、中型犬が3,4匹あらわれ、とつじょユウコの背中に飛びついた。危害を与える様子はなく、野良犬のわりには毛並みがきれいで、じつは誰かに飼われているのではないかとも思う。飛びつかれたユウコが、

「犬嫌いのバーテン君、ここに来られるかなあ」と言う。「涙流して、逃げ帰っちゃったりしてね」。

何度もお会いしてきた人だけに、イスタンブールで再開したら一杯やりたいものだ・・・と、思うとけっこう会えなかったりする。