1月27日(水)ヴィリニュス 晴れのち曇り リガでは雪
【ラトヴィアの首都リガへ】
またまた移動日で好天になり、恨めしくも思ったが、昼前には曇ってしまった。しかしむしろ雨が降らなくて良かった。
ユウコ、このところ風邪気味で、鼻水が止まらないと言う。少し心配だが、今日のところは頑張ってほしい。
早朝チェックアウトし、まずはラトヴィア大使館へ行く。9時半到着。10時まで待って、ラトヴィアVISAを取得。
トロリ10番、16番と乗り継いで、バスターミナルへ行く。11時40分発リガ行きに間に合った。
このバス、1人29.9と、他のリガ行きよりも少し安い。到着は18時8分の予定である。
待合いの両替所で、余ったリタス(Lt)をラトヴィア・ラッツ(Ls)に替える。0.01Ltのコインが残った。
バスは始発でなく、ミンスクから来るらしい。30分遅れてやって来た。12時10分の発車。
14時、Panevezysの町を過ぎ、15時20分に国境に至る。
出入国審査は20分で終わり、そしてリトアニアの出国スタンプが押されなかった。カンタンである。
バスの乗客に、ソビエト(CCCP)のパスポートを持つ、幼女を連れた若い夫婦がいたが、彼らはドキュメントのチェックなどもされた上、なにやらもめたあと、とうとう降ろされてしまった。そして彼らを残し、バスは動き出した。かわいそうだが、事情は分からない。
国境を越えると、北上しただけだが時計は1時間進んで16時40分出発。16時55分、Bausukaの町を過ぎ、そして定刻通り18時08分、リガに到着。すでに真っ暗である。
雪は久しぶりだ。
バスターミナルから旧市街へは少し距離がある。町歩きをするには旧市街の宿の方が便利だが、今から探し歩くのもおっくうだし、どうせここには2泊しかしない、というわけでで、まずは駅前のホテルサウリーテに入る。ダブルで10Lsという。場所と値段からすると、旧市街にあるホテルアレーナのほうが良い。どちらもガイドを読んで目をつけていたのだが、
「アレーナに行ってみようか」とユウコに言うと、彼女は心配だという。ガイドを見る限りだが、経営状態が思わしくないようだ。ホテルが無くなっている可能性がある。しかもここから遠く、もしもつぶれていたら、それに変わる宿はアレーナの近所にない。ということで、アレーナに行くのはやめて、ここに泊まることにする。
トイレシャワーは共同。部屋は4階にあり、階段をエッチラオッチラと上がる。階段を上がったすぐの部屋である。というより、この宿、他の部屋は泊まり部屋ではなく、みなオフィスが入っているような気がする。まあいいや。
シャワーは別料金(0.4Ls)、3階にある。シャワールームの隣にいるオバチャンに声をかけ、使わせてもらう。良いシャワーであった。
ユウコがPocketで目をつけていた近所のカフェPegassで食事。駅前には24時間スーパーもあるし、マックもあるし、そして両替所もたくさんあった! レートの悪いバスターミナル内の銀行で済ませたのは失敗であった。
【両替レート】
リトアニア
Buy Sell
ラトヴィア 6.4 7.0
ラトヴィア
Buy Sell
リトアニア 0.135 0.143
リトアニアで両替しておいたのは正解だった。
久々にテレビ付きの部屋である。ニュースには必ず手話がある。ルーマニアでもそうだったが、ヨーロッパでは一般的なのだろうか。
ところでユウコは「チーズの話」に出てくる「エライことになるチーズ」を買ってしまった。
手にとって食べると、なるほど確かにエライことになる。要するにクサイのだ。しかしユウコは全然気にせず「うまいうまい」と食べている。鼻が詰まってニオイが気にならないらしい。いや、もっと別の理由もあるのかもしれないが、それはナイショ。
スーパーにサッポロビール(小瓶)があった。中身は日本製だが、瓶詰めはオランダかデンマークの会社(BEAR BEERか?)がやっているそうだ。が、小瓶のくせに0.73もする。チェコが誇るピルスナーウルクエルは他国では少し格の高い輸入ビールになっていることは既に知っていたが、それよりも高い。誰も買わんゾ。
***
1月28日(木)リガ 雪 午後には晴れ間も出る
【雪の降る中、街歩き】
今日は少しゆっくり8時起床。このホテルは、部屋が階段のすぐそばということもあるが、夜中にも人の出入りがあって少々うるさいのが難点である。ただ、部屋は広いので快適だ。
雪の降る中、今日は一日リガ散策。
午前中は、十字の穴と2人の顔のあるヨハネ教会、123mという世界一高い塔を持つペテロ教会と回る。塔にはエレベーターがついており、これで72mの高さまで上がる。街を見渡すことができた。そのあと、帯剣騎士団の城趾でもある工芸博物館、雪の積もった猫の家を冷やかし、ペテロ教会の前に立つ「ブレーメンの音楽隊」の銅像の前で写真を撮り、ドーム広場の少し高級なカフェで昼食。
カフェのテレビではユーロスポーツチャンネルが流れていた。全豪オープン女子のセミファイナルをやっている。対戦相手はマルチナ・ヒンギスvsモニカ・セレシュ。
新旧女王の対決といった構図で、食事をしながら試合を見る。結果は6-2、6-3でヒンギスの勝ち。
しかし、どちらも「女王」というには精彩を欠いたプレイぶりで、よりミスの多かったセレシュが負けたという感じであった。
ヒンギスも、ひところの圧倒的なパワーはなくなったということか。
試合を見ながら、深夜特急の一節を思い出していた。一人旅の沢木青年が、通りがかったショーウィンドウの人だかりを覗いてみると、モハメド・アリとハリー・フォアマンの試合をやっている。ヘビー級タイトルマッチのその試合は双方まったく精細を欠いており、沢木青年「アリも老いた」と思う。と、その瞬間、アリのパワーが炸裂、勝利を収める・・・と、そんな感じであったように思う。しかし、いずれにせよ、僕が今日見た試合には、「パワーが炸裂し、勝利を収める」シーンは、なかった。
午後は大聖堂、三兄弟、ヤコブ教会、スウェーデン門など見て歩き、そしてアールヌーボーの建築街へ。これはたしかに「なんじゃこりゃあ」という感じである。
朝は雪も激しく風も強かったが、昼からは雲も薄くなり、明るくなってきた。
ところで、神戸とリガは1993年に姉妹都市になったそうで、記念の時計塔がメルケラ・ブリーヴィバスの交差点にある。時計塔の高さは約5m、全身銀色の、ややふくらんだ四角錐の形状を成している。下部に神戸市長挨拶(というかこの時計塔の説明)があり、これが日本語とラトヴィア語で刻まれている。その上、高さ2mほどの位置に神戸時間を示す時計、さらにその上、高さ4mほどの位置にリガ時間を示す時計がある。
見た瞬間、「なぜ神戸時間を刻む必要が?」と思うと同時に「なにこれ?」という言葉が出てしまった。実に味のないデザインである。ソ連時代の意味のないモニュメントに負けず劣らず、無味乾燥というか、情けないやら可笑しいやら。
「センスがないのか、金がないのか」。
僕が言う。するとユウコが、
「せめて正午になったら、琴の『さくらさくら』が流れて、中から博多人形が出てきて踊ってくれたら大したもんだと思うけどね」って、だから、神戸だっちゅーの。
夕食はホテルの部屋でビールパーティ。
食事をしながら振り返る。リトアニアの歩行者は、かなり真面目に信号を守っていた。そして、車は歩行者のために停まってくれた。歩行者の方が優位に立っている。しかし、リガ(ラトヴィア)は渋滞が多い。車が多く、路上駐車も多い。そして人も多い。さすが100万人都市だ。思えば、ヴィリニュスのほうがのんびり度が高かった。
テレビの天気予報で、今日は−8〜−3℃とやっていたが、日中、インチキ温度計でも久しぶりに−10℃を下回った。たしかに寒いが、それでも「ふーん」という感じである。ただ、鼻水の止まらないユウコは少々辛そうだ。
小さい国ながら沿岸と内陸の気温差は大きく、明日の予想は、リガ −11℃、西武沿岸 −8〜−10℃、東・北部 −14〜−17℃とのこと。寒気到来といったところだ。
ビールの値段:リトアニア2.3Lt、ラトヴィア0.3Ls、エストニア10.5EEK(同じ0.5l)
なんたってビールが美味い。