中央アジア8(No.28) イシククル湖〜カラコル3

【西田さん、本当に?】

アクスー・サナトリウムからカラコル市街へ帰ってきたが、早起きして出てきたので、まだ半日も経っていない。そこで今日はイシククル湖にも行ってみることにする。アルマトイのバーバもおすすめだった、中央アジアでは大きな湖だ。その前に、とりあえず腹ごしらえ。サナトリウムでビスケットを食べたが、歩いたせいかお腹が空く。一昨日高校生に勧められて行った、カフェの隣もまたカフェなので入ってみる。メニューにはさまざまな料理が挙げられているのだが、店員いわく、今できるのは「ラグメン」しかないという。「使われているのが羊肉だといやだな・・・」と私は思うが、ほかに選択肢もないので頼んでみた。すると、具に使われていたのは牛肉だった!おいしい!!よかった・・・。お腹も落ち着いたので、湖だ。ガイドブックによると、イシククル湖付近の町はMAЯKという街だという。バスターミナルではすぐMAЯK行きのミニバスが見つかって、湖へと向かった。昨日からの雨もあがって、晴れ間がでてきており、気分も明るくなってくる。ここがMAЯKだろうか、小さな街で降り、街路樹を抜けて丘の向こうへ行く。眼前にイシククル湖が現れた。なんと美しい!感動!!来てよかった!!!湖面は青く、ところどころエメラルドグリーン色をしている。放牧されている馬・牛、雪をかぶった天山山脈の山々の風景が、湖の青さに加わって、更に美しい。湖畔は砂浜になっている。水の青さとあいまって、まるで南の島に来たかのようである。馬や牛の落とし物(うん○)があることを除けば、雰囲気がある。落し物がなかったら砂浜にすわってぼーっとできるのに・・・。湖をしばらく見た後、動物たちに近寄ってみる。近づいても逃げないので、馬の足元を見てみると、遠くに逃げないよう、足が縛られている。少々窮屈でかわいそうな感じだ。白くてかわいい子牛もいる。写真を一緒にとったりして、ごきげん。草原と湖を満喫して、街の方に戻ると、今日のバスはもう「フショー(おわり)」だという。なんと!カラコルにどうやって帰ろう?がっくりしながらも、まだバスがある可能性があると言われた、隣町を目指す。運の良いことに、しばらく歩いたところでタクシーが拾えた。助手席には既に先客がある。西田敏行似の運転手は話し好きで、「どこから来たのか?」「日本人か?」「月収はいくらだ?」「妹か、それとも娘か?」などと矢継ぎ早に質問してくる。私たちの月収はバーバに聞かれた時同様、100ドルということにした。運転手は窓の外に広がる雑草を指さして、「マリファナだ。がはは。おまえもやるのか?」といって笑う。マサトが「めっそうもない」と答える。この雑草がほんとうにマリファナかどうか、からかわれただけなのか分からないが、もしこんなにたくさんマリファナが生えているんじゃ、警察で「麻薬やってないか」としつこく聞かれるのもわかるような気がするなあと思う。私たちの月収を聞いて、「おれも昔は公務員だった。ペレストロイカがあってから、どんどん生活が悪くなる」と運転手の言葉尻がだんだん荒立ってきて、「畜生!アメリカめ!!」と大きく叫ぶので、ちょっと怖かった。でも、ひどくぼったくられることも、殴られたりすることもなく、西田さんは無事にカラコルまで送ってくれた。

 

【サムとエレーナに会う】

一度止んだ雨だったが、夜半過ぎから再び雨が強くなり、明け方まで降り続いた。ホテルカラコル、停電。寒い。

今日はビシュケクへ戻る日だ。8時半にバスターミナルへ行く。ビシュケク行きのミニバスが既に待っていた。乗客はほとんどが地元の人だが、あとからイギリス人女性とニュージーランド人男性のカップルが乗ってきた。エレーナとサムという名前だそうだ。彼女たちは「台湾で英語教師をしているときに知り合った」そうで、東洋人になれているせいか、日本人に対しても、とても感じがよい。日本も訪れたことがあって、東海道新幹線を「高いけど、素晴らしい乗り物」とほめていた。もう旅行して1年になるという。このままもう少し西へと旅行して、エレーナの故郷イギリスに渡り、結婚するつもりだという。

昨日彼女らはアクスーではない、もう一つのサナトリウムに行ったが、修理中でお湯は出ず、朝、雪が降り、7時に追い出されるし、さんざんだったそうだ。まだ、アクスーに行った私たちのほうがましだったのか・・・。

サムとエレーナのこれからの旅程が私たちと似ていたので、マサトがイランのビザについて質問すると、「トランジットならビシュケクでとれるよ」と教えてくれた。キルギスでイランビザをとる予定はなかったのだが、早く取れるに越したことはない、と後日大使館へいってみることにした。

エレーナから今日、一つ学んだことがあった。昼食休憩中、エレーナはパンにトマトとチーズを挟んでサンドイッチを作っているのだ。おいしそうだ。今まで、私は生野菜を食べるのを避けていたが、旅の生活の耐性(?)もできてきたし、もう生でも大丈夫かもしれない。これからは私も真似して、トマトなどの野菜を買ってみようと思った

16時半、ビシュケク着。サムとエレーナがミニバスを降りるタイミングと、ビジネスセンターへの行き方を教えてくれた。感謝。

ビジネスセンターにつくと、なんと今日はLAX(スイート)しか空いていないという。テレビ・冷蔵庫・ソファ付きで27ドル!!ツインの倍の値段だがこの料金で泊まれるまともなホテルも他に考えられないので、泊まることにする。こんな贅沢な部屋は私たちに必要ないが、せっかくなのでくつろぐ。テレビを見るのが久々で珍しい。日本人指揮者の小沢征爾がテレビに出ている。キルギスでコンサートをやるのだろうか。キルギステレビとロシアテレビが放映されているが、キルギス語は語感がハングルに似ているような気がする。心なしかアナウンサーの顔も韓国人に似ていると思う。

 

【アラ・アルチャ国立公園】

今日は916日。晴れたのでハイキングだ。アラ・アルチャ渓谷国立公園に行ってみる。バスで国立公園のゲートまで行くことができ、そこから歩く。3時間。ベースキャンプに着く。遠くに氷河のある山が見え、清流が美しい。ここまで本当は車で来られる。お金をけちらず、最初からタクシーを使い、ここまで来てからトレッキングをすればよかったかなあ、と思うが、仕方がない。本格的トレッキングは今後の宿題として、カラコルの街に戻る。

 

(つづく)