310日(水)景洪 晴れ

 

【景洪から、さらに南下】

 7時に起きてもまだ暗い。

昨晩は一昨日より暑く、少々寝苦しかった。網戸と蚊帳があるので、窓を開け放しても安心だ。

雲南電視台では、英語ニュースの時間がある。香港向けなのだろうか。

客運站に行くと、モンラー行きのバスがちょうど待っていた。

840分に出発。ガンランバを通過する。この時間だと朝市が賑わいを見せている。観光客も多い様子だ。

1050分モンルンを過ぎ、1155分に昼食休憩となるが、もうそんなに遠くないことは地図で分かるので、我々は食べない。乗客も、半分ぐらいは食事をしない。

横には立派な黒豚がデンと寝そべり、その周りを子豚たちが遊んでいる。

ほとんどのお客はタイ族と思われる中、明らかに漢人とわかる夫婦がいた。幼児を連れている。2人ともメガネをかけているのが珍しい(もっとも、我々もメガネをかけているが)。

ところで、移動中のバスの中でモノを食べているのは彼らだけである。子どもは車内でウンチをし、食べ物を床に落とし、バスを汚す。

ほかの客は皆おとなしい。この辺りにも民族性が出るのだろうか。

見ている限り、夫婦はそろってわがままである。自分の都合の良いときに子どもを抱き、悪いときに放す。子どもの都合がない。

 

【国境の町モンラーへ到着】

午後225分、モンラーの市街に入る。

地図を見ると、バスの終着、客運站は街の北にある。ここで降りて南に歩けば市の中心に行きつつ宿を探せる。しかも近くには安宿があるらしい。これは助かる。

ところがバスは北の客運站が終点ではなかった。まず、北站の少し手前にある孔雀賓館前に停車し、それから街の目抜き通りを下って中心で停まり、さらに南下して中国銀行を過ぎ、街の南にある南站まで来てしまった。おかげでこぢんまりとした街であることは分かったが、北から南に、文字通り「下る」構造になっており、ここから宿探しに戻るには延々緩い坂道を上って行かねばならない。

よってリキシャを雇うことにした。

北へ上がる坂を、エンコラサ、ドッコイサと進んでいく。

「がんばれ、がんばれ」と声をかけたくなる。

目をつけていた南亜賓館に行く。

ややくたびれた、小さな役所か小学校を思わせる3階建ての建物で、校庭よろしく広場がある。

出てきたオヤジは愛想が良い。なんだか嬉しそうにニコニコとしている。

 

【陽気なオヤジ】

はじめに案内された1階の部屋はトイレの水が流れず、

「ここではだめだ」と僕が言うと、オヤジはなおもニコニコして、

「ではここへ」と2階の部屋に行く。と、今度はせっかくあるテレビが映らない。

無ければ諦めがつきそうだが、有るのに使えないのは悔しい。しかもケーブルが切れているだけなのだからなおさらだ。

「ケーブルを付け替えてくれ」と頼むと、オヤジは、

「おっと! よしきた!!」とばかり、大きなアクションで階段を駆け下り、服務員を連れてきてしばらく議論し、さらに道具を取りに再度駆け下り、また走って戻ってくる。

オヤジの奔走ぶりはお客としては嬉しいが、そのハッスルぶり、愛想の良さ、顔の表情はW社のI氏を思わせる(そう思うと、あの人も良いオジサンなのだ)。

おかげでテレビは映るようになった。

 

部屋の手配が一段落したところで、

「メシ食うか?」というオヤジの誘いを受け、宿の裏手にある食堂へ案内してもらう。

ごちゃごちゃとした階段や通路を通ったので分からなかったが、ここは宿と同じ建物であった。

あまりにも中国にありがちな、そこそこに清潔でない、地元色バリバリの店である。

オヤジの愛想の良さにこちらも気分良く座ったまでは良かったが、ふと、

「ふだんなら入らないよね、この店」と、ユウコにつぶやいたとたん、衛生面の不安がよぎる。

しかし、

「それを言い出したら、バス移動の食堂だって同じじゃない?」とのユウコの答えに、なんだか僕も納得した。

 

昼飯のピークを過ぎ、小さな食堂はのんびりしていた。

オヤジの妻かと思わせるおばちゃんと、別のオヤジが店を仕切っている。

みな、親戚のように「あれ食うか、これ食うか」と優しい。お茶もいただき、のんびりする。

屋根はあるが通りに対しては丸見えの食堂で、風が心地よい。ハエが少ない。そしてメシはうまい。

 

そういえば昼の休憩時に「磨憨(モーハン)−昆明」の臥輔車が通過した。直行するのもあるのかと、感嘆する。

モンラーでも、「歩き方」の宿の他、3ツ星の錦秀大酒楼や郵電賓館など、新築が続々と建っているようだし、交易が盛んになっているのだろう。

半面、この宿は値が下がっていた。「歩き方」には2人部屋60元とあるが、今日の話では1階:40元、2階:50元となっていた。ちなみに3人部屋は45元。すべてシャワー・トイレ付きである。

お客も少なく、「我々は久しぶりのお客さんで、それで嬉しかったんじゃないかな。そのうちつぶれてしまうのではないかしら」と、ユウコが心配する。

 

少し休んで、買い物がてら散歩に出る。5時を過ぎればかなりしのぎやすくなる。

モーハン行きは南站から出るらしい。そしてここからは、「祁阳」なる町へ行くバスがあるという。不定期に出るという辺り、国際バスのような雰囲気があるが、どこのことか分からない。朝720分から20分おき。ちなみにここから昆明行きのバスは朝7,8,9時の3本ある。

街の中央を走る「モンラー街」にかかる垂れ幕に「歓迎悠参加 中老 中泰 出境游 (モンラー旅行社)」なるものがある。

「老はラオス、泰はタイ。中国人でもラオスに遊びに行くんだねえ」と思うと、なんだか気が楽になる。

「いいよなー。中国人は、ベトナムやミャンマーへも、ビザ無しで旅行できるんだからね」。

 

この街にはリキシャが多い。

ところで、リキシャには昨日、景洪で初めて乗ったわけだが、「深夜特急」にも出て来るとおり、スタート時は実にエッチラ、オッチラと走り出し、思わず降りて一緒に走りたくなってしまう。しかし走り出したら慣性の力でけっこうスイスイと走る。オヤジ共の足はたくましい。これがバイクタクシーとなると、乗っている時間も短いし、なんだか割高感があるが、リキシャはのんびり街を楽しめながら走るし、運ちゃんの苦労に直接支払っているような気がして、12元と言われても抵抗はない。けっきょく自己満足なのだけど、彼の家計の一助になったかと思うと、わけもなく気分が良い。ぎゃくにロバ車では、まるでそういう気になれない。ロバばかりが苦労しているからだろうか?

ロバと言えば、雲南のロバは新疆のと違い、マヌケ面がいない。いかにも「ロバー」というような、のんびりしているような、けな気なひ弱な雰囲気のロバがいないのだ。むしろ馬のようにキリリとしている。毛並みも体格も、馬のように立派である。種類があるのかな? ロバ馬とか、馬ロバとか・・・。

中国ではバスケットボールが盛んで、テレビではNBAの試合もゴールデンタイムで見られる。が、中国リーグはあまり上手でないように思う。

ホテルの中庭(というより小学校の校庭のような広場)で、野外カラオケ大会が始まった。うるさい。そこで様子を見に行くと、真っ暗な中で輪になったり一列になったり、カラオケ大会というよりフォークダンス大会だ。盆踊りとでもいうべきか。仮設のミラーボールが奇妙である。彼らは夜11時までうるさかった。この街では夜中の2時でもヨッパライが通りを歩いている。

 

テレビの天気予報

ハルピン −17〜−5℃(まだまだ寒いネ!)

北京 −39℃(北京も寒い!)

昆明 1125