イラン6(No.43)ゾロアスター教の聖地〜ヤズド

【ヤズドへと向かう】

1023日(晴れ)

素晴らしいスイートルームは午後2時までいて良いとのことで、休養する。

ヤズド行きのバスにのるべく、バスターミナルへ。バスターミナル行きの市内バスは、イランに来てから最も混んでいる。

周りの人が「荷物をここに置きなさい。」とか、「ここに掴まったら?」と優しいのだが、昨日のこともあり、人混みがちょっと怖い私。女性のスリにあった、というのも、ショックが大きい原因かもしれない。

バス会社では、先日同様チャイを振る舞われ、思ったより早く(16時半)出発。今日も夜行バスだ。バスでは前のほうの席に座らされ、特別にチャイを2回振る舞われた。

隣の人にはみかんをいただいたりして、すっかりもらいもの人生だ。(昼食時もナンをもらった:マサトの日記参照)23時、遅い夕食休憩。立ち食いのサンドイッチ屋で軽い食事をとる。サンドイッチは安く、お釣りとともに、おまけのトフィー(飴)をくれた。

1024日(晴れ)

翌日。バスは朝8時半にヤズドに到着。日本語使い(日本語が話せる人のことをこういう)のタクシーの運ちゃんにタダでホテルアリアに連れていってもらう。アリアは安いが、シャワーは部屋に付いている。トイレは共同。そう悪くない。お湯が出るのでありがたい。

 

【ヤズドの街】

一休みして、街へ。

食事をしようと、店を探すが、サンドイッチ屋しかない。

そうこう言っている間に、旧市街のバザールがあるところまで来てしまった。

イランのバザールは、中央アジアのバザールと違って、贅沢品(貴金属・服地・陶器など)がほとんどで、日用品、食品が少なく、淋しい。

ヤズドはゾロアスター教(拝火教)の聖地だが、現在はイスラム教徒が圧倒的に多く、市内にはモスクもたくさんある。バザール近くにある、バディ・モスクやアミール・チャクマク広場のミナレットも美しいが、マスジェデ・ジャメは、それが現れたとたん、思わず「すごいねえ、すごいねえ」と言ってしまうくらい、美しく、大きい。内部もガイドブックには「シンプル」とあるが、なかなかのもので、モザイクが美しく、状態がいい。しかし、マスジェデ・ジャメ内の地下の貯水池は、ゴミがあったりして、いまいちである。昔はここで顔を洗って(お清めして)からモスクにお参りしたのだとか。今水は枯れている。

旧市街にある時計塔もモザイクが施されていて美しい。

モスクの周りの土産屋や、タクシーも商売気がなく、町の人も素朴で良い。

但し、サンダル売りの少年だけが、しつこいのがいただけないが・・・。

他に食事するところが見つからないので、先ほどのサンドイッチ屋に入ると、テレビで「おしん」をやっていた。田中裕子の時代。相手役の男の人が何という名前の俳優だったか思い出せない。本当に放映されているのだ。

 

【聖地:沈黙の塔】

けっこう疲れたが、ホテルに戻ってしまうと根が生えそうなので、このままゾロアスター教の鳥葬場、沈黙の塔をめざす。

ガイドブックには3キロ手前のメイダネ・アブザールまでしかバスはないというように書いてあったが、そのメイダネ・アブザールに着くと、

「沈黙の塔の近くまでバスはあるよ。ゴレスタンで降りなさい」と親切な30代位の男性が教えてくれた。

「私はね、ヤズドの人間じゃないんだけどね、妻がヤズドの生まれでね・・・。ヤズドの人間は気だてがいいんだよ。」と男性はいう。

たしかに、この街は穏やかな人が多いようだ。

ゴレスタンへ行くバスの女性客は、大学生風の人が多い。

「ヤズドGood?」などと話しかけられる。

ゴレスタン付近は、新興住宅街になっていて、女子大生たちはその辺りに住んでいるようだ。

バスの運転手は「沈黙の塔に行くのか?」と聞いて、近くまでバスを乗り付けてくれた。

お目当ての沈黙の塔は、周りがゴミ捨て場になっていて、ブルドーザーなどがあり、ガイドブックにあるような「雰囲気十分」の景色とは言い難い。

拝火教寺院跡も、落書きされていたり、野糞されていたり。

塔は本当にただの土の丘で、暑くて。でも、せっかく来たのだから、と、2つあるうちの(塔は2つあった!)低い方に登ってみる。

地元の青年が、バイクをうならせて塔を登っていく。沈黙の塔はイランの3大ガッカリだそうだが、まあ、そうは言っても、来てみないと「がっかり」ともいえないのだから、来てみる価値はあるとは思うけど・・・。

 

【拝火教寺院】

街のほうに戻って、拝火教寺院に行ってみる。これは意外と立派な建物で、寺と行っても祈っている人もいないし、少々物足りないかもしれないけれど、それなりに雰囲気のある場所だった。今では寺というより、「ゾロアスターに関する歴史博物館」といったような位置づけといっても良いかもしれない。

勉強にきているのか、イラン人の学生が熱心にメモをとっている。

ところで、ここで西暦470年から燃え続けているという「聖なる火」について、私はオリンピックの聖火のようなものを想像していたが、実際に見てみると、それは「聖なる炭火」であった。

大きい金のワイングラスみたいなものに、種火のような炭火が入っている。私が想像したようなごうごうと燃える「聖なる火」はアゼルバイジャンのバクーに、18世紀にはあったそうだ。その(絵)が展示されている。こちらはちょっとやりすぎでしょう、と思うくらい、ゴウゴウと燃えている。

 

【イランの食べ物】

夕食にホレーシュ(シチュー)とチェロモルグ(チキンライス)を食べる。ホレーシュはいわゆる日本の「ビーフカレー」で、懐かしい味にもりもりと食べる。ここではモルグもカレー味だったが、トマト味のモルグもあるので、ホレーシュもトマト味だったり、羊肉を使っていたりといろいろと種類があるのだろう。

 

(つづく)