ロシア1(No.84)ロシアに帰ってきた〜サンクトペテルブルグ
【まずは外国人登録】
2月1日(くもり)
定刻通り0時5分、エストニア国境の街、ナルヴァに到着。
エストニア出国はカンタン。カスタムは女性の軍人がやってきて、「申告するものありませんか?」と尋ね、マサトが「ないっす。」と答えるだけ。イミグレもすぐハンコポーンで「Have a good trip」とかいわれる始末。
この後、これまた定刻(1時56分)にロシア側国境のイワンゴロドに到着。事前に配られるはずの、所持金申告の紙がない。イミグレより先にカスタムのおじさんが来ちゃった。
カスタム担当「書類は?」
マサト「ないっす。(もらってないよ!:心の声)」
カスタム担当おやじ「(入国の)ハンコは?」
マサト「ないっす。(イミグレが来てないですから!)」
すると、はいはい、という感じで、所持金申告の紙をくれた。
このおやじ、マサトから「お土産に・・・」と日本の10円と50円をせしめていった。しかし、賄賂を求める国境警備関係者が多い中、少額のコインで帰って行ったおやじは優しい方かも。
そしてまた定刻通りの朝6時半、ペテルブルグにつく。とにかく定刻通りだったのが、めずらしいんです!この旅では。
まず、地下鉄駅を探さねばならないが、人波についていったらなんとか見つかる。そしてジュトン(地下鉄用コイン→切符代わり)の窓には長蛇の列・・・。行列、おお、ロシアだ・・・。
今日はYHに泊まる予定。YHの入り口が見つけにくいが、どうろ雪かきのおばちゃんが入り口を教えてくれた。親切だ。
内部はぱっと見たところ、なかなかきれい。しかし、レセプションが8時半からしか開かない。まだ、7時過ぎだ。そして1人1泊21ドルとは!朝食付きとはいえ、お高いこと・・・。ロシアのホテルはもっと高いのだろうが、このYH、タシケントホテルより高いのか・・・。
レセプションが開いてからチェックインして、朝食をとってひと休みし、インビテーションに書いてある旅行会社「コンパニオン」へ。ロシアはインビテーション(招待状)がないとビザを発行してくれない。そして、そのインビテーションしてくれたところ(私たちの場合旅行会社)を訪問して、レジステーション(外国人登録)を頼むのだ。レジステーションしないと、不法滞在者として警察に捕まる。このあたりの手順は、中央アジアの時と同じである。
「コンパニオン」のお姉さんはロシア語しか話せず、ホテルや列車の切符を予約させようとして要領を得ないが、最終的にはなんとか30日のレジステーションを得る。こんなに早く、まさか旅行会社でやってくれると思わなかった。どこか別の機関へ登録に行く必要があると思った。
今日は時間的にレジステーションしかできないと思っていたが、思いがけず時間ができたので、次の国のビザの申請、中国大使館へいけることに急遽なった。
とはいえ、中国大使館は11時半までしかあいていない。まもなく11時だ。大使館まではここから歩ける距離だと聞いて、マサトは、ダッシュ。ありがとう。おかげで水曜には中国ビザがGETできる予定。
安心したので昼食。
裕子:サリャンカとパン
マサト:ポークシャシリクとピラフ、サラダのプレート、2人でチャイを頼む。全部で4ドルと安い。
15時にも同様のカフェテリア式お店(kafe)で
ユウコ:ボルシチとビール
マサト:ビーフステーキとビールを頼んだが、これも3ドル弱と安く、こういうファストフード的な店が増えているのだろうか。
インターネットも安い。1時間2.5ドル(50pp)。
治安も思ったより良いし、ロシア、Good国である。
夜はバザールで買ったハムとビール。こちらのハムは保存料など入っていないせいか、とてもおいしい。300Gのカタマリを2人でペロリとたいらげてしまった。
【YHの猫飯】
2月2日(快晴)
ユウコ、体調が悪く、今日は休憩。
YHは朝食付き。この朝食は毎朝同じメニューらしく、チーズ1切れ、小分けのジャムとバターが一人ひとつずつ。白パンとシリアルは食べ放題だ。コーヒー、お茶、ミルクも飲み放題。この食べ放題のシリアルが強烈で、☆型をしているのだが、猫ちゃんのカリカリ(エサ)に似た色と形、そして、歯触りをしている!(子供の頃、興味本位で自分の猫のカリカリを一つだけ食べたことがある。二度と食べないと誓った。)ミルクに入っている姿も妙だ。しかし、かろうじてカツオ味はしない。シリアルの味としては普通だ。食堂の壁には「バッグ・コート持ち込み禁止:20分以内に食べること」などという張り紙があるが、常識的な範囲で食事を頂いている限り、うるさいことは言われない。バッグ・コート持ち込み禁止なのは、パンをくすねてお弁当作っちゃう人がいるからか?ルーマニア、ポーランドであったJ君は食べ放題の食事をくすねてお弁当を作ると言ってたっけ。
YHのフロアには、ロシア名物、部屋鍵おばさんのジェジュールナヤならぬ、部屋鍵おじさんがいる。この人も優しい。私たちのいるフロアは、空いてる。
今日はマサトは1人でサンポ。すごい寒かったらしい。体調の悪いわたしのために、バナナを買ってきてくれた。何が食べたいと聞かれて、なんだかバナナが食べたかったんだよね。日本では体調悪くても、バナナ食べたいなんて思わないんだけど。ありがとう!
マサトは美容院にも行って、さっぱりしてきた。
まさしく寝食を忘れて、夕方から2人で今後の予定を立てる。昨日、たくさん食べたしね。
【エルミタージュ美術館】
2月3日(くもり)
朝食中、日本人Oさんに会う。彼は青森県職員で、ハバロフスク在住なのだという。なぜ、青森県職員なのに、ハバロフスクに住んでいるのかというと、青森とハバロフスクは友好都市で、研修のためロシアに住んでいるそうだ。そういえば、以前、私たちはハバロフスクを訪れたことがあるが、その際、博物館に青森の展示があったことを思い出す。極東の方がペテルブルグよりも治安が悪いという。中央の通達が極東まで届いていないそうだ。まあ、この広さで東も西も同じ国、っていうのに無理があるんだけどね・・・。Oさんは話し方がとても優しい。
中国大使館へ。トラムに乗っていきたいが、切符がどこに売っているかわからない。困った。停留所近くのキオスクには売っていないらしい。
マサトは「事前に切符を買わないと罰金だよ。」という。罰金が怖くて、結局トラムに乗らずに歩く。もうまもなく大使館、というところの停留所で、ちょうどトラムがやってきた。開いたドアからおばちゃんが出てきた。どうやら切符を売る車掌らしい。なんだ、トラムの中で切符買えば良かったんじゃない!罰金はガセネタ。中国Visaは無事Get。
エルミタージュ美術館へ。私は朝からヒンケツ気味で、暖かい建物に入るとふらふらする。エルミタージュ美術館は広すぎて、最初、見学の要領を得ないが、なんとか有名どころにたどり着いた。なにしろすごい展示の量だ!1日ではとうてい回りきれない(というか、見るのに疲れる。)
3階の展示が一番面白い。この階で展示されている、モネ、ピカソ、ルノアール、ゴーギャンなどが面白い。特に、ピカソの作品で、キュビズムに傾倒する少し前の絵は、3Dの先駆の如く、近づいて見ると平面に見えるが、ちょっと離れた所から見ると立体的に見えて面白い。
私たち2人が同じように気に入った絵はConstant Troyonの「Departure for the market」!ヒツジや牛や人々の息づかいがリアルで、脇にいる犬なんて絵から飛び出してきそうだ。所蔵品の中の数枚は絵はがきとしてコピーを館内で販売しているので、この絵の絵はがきを買いたかったが、マイナーな作品なのか絵はがきに無く、残念。
次に、セザンヌ、マチス、ゴッホ、ロダン、ミレーなども見たが、こちらはあんまり良さがわからなかった。
ルネサンス期、ダヴィンチと同じくらいの年代の絵には、神を題材にしていながら、明らかにエロティックなものも多く、マサトと「古代のエロ本だ!」と話す。
また、この美術館は絵が一番の目玉だが、ピョートル大帝の玉座を始め、美術館の建物そのもの、冬の宮殿自体が美しい。装飾は金ピカで、心なしか「成金トルコ」を思わせる。ロシアも所詮、「ヨーロッパに負けるな」と思っていた田舎の大将なのか?しかし、こんなどでかいもの作って、財産費やして、王様は庶民を苦しめただろうねえ。悪い王様というか、なんというか・・・。
他にも、ギリシャ、エジプト、スキタイの遺品など、見るものは尽きないが、飲まず食わずで展示を見続けて、エネルギー切れ&脱水。
美術館前の広場を見て、両替をし、明るいカフェに駆け込む。と、そこはカフェではなく、なんとロシア版「SUBWAY」(サンドイッチチェーン)だった!おいしいサンドイッチ(スモークビーフ)を食べ、500mlも軽くスプライトを飲み、(マサトはクラブスティックサラダとビール(350ml)一息。
買い物して帰る。バスに乗ろうとするが、アヤシイ輩あり。歩くことにする。ただ歩いている分には安全で、美しくライトアップされた都会的な街だ。
【ペテロパブロフスク要塞】
2月4日(くもり)
今日は小雪。
朝食をとっていると再びOさんに会う。別れ際、名刺等いただく。
ムルマンスク行きチケットをGETし、YHをC’Kout。
私は、美容院へ。頭スッキリ。ドライヤーなどしてもらうと、少々マサトより高めだった。
ムルマンスクの宿泊先について聞こうと旅行会社「コンパニオン」へ行くが、「いっぱいスバボドナ(空室)よ!No problem!!」と言われ、とくにおすすめはないらしい。行けば何とかなるだろう、とあきらめる。
ペテロパブロフスク要塞へ。要塞内にある様々な施設共通の入場券を買わねばならぬ。我々学生券をGet。
庭にピョートル大帝の銅像があり、皆記念撮影していく。私たちもご多分にもれず、記念撮影。ピョートル氏は小さい。とくに頭が小さい。マサトの3分の2くらいか。そして細い。手の指が非常に細長い。あたまがつるっ禿で、細いので、ちょっと骸骨みたいだ。
ペテロパブロフスク大聖堂は立派で、天井には天使やはとが飛んでいる(もちろん絵)。
ピョートル大帝の棺は、他の皇帝たちの棺と共にこの大聖堂に納められている。一番有名な皇帝のように思うが、ピョートル大帝の棺は中央ではなく、右のすみっこにある。奥なので、ある意味上座?大帝の棺だけ、造花で飾られている。胸像もある。こちらのピョートル大帝の髪はふさふさしている。
司令官の部屋の歴史博物館に行く。18世紀までこのサンクトペテルブルグは本当に田舎で、18世紀の頭にやっと西洋化されたとのこと。やっぱりロシア皇帝は「田舎の大将」だったのだ。いろいろな職業の人を絵に描いて展示した中にウズベク人みたいな風貌の人がいて、マサトに「ウズベクの人みたいだね」といったら、本当にブハラ人を描いた絵だった。このように気づくことができるのも、旅でいろいろ見てきたからこそ、と感慨深い。