127日(月)イスタンブール 雨

 

いよいよトルコを去り、ブルガリアへ向かう日がやってきた。

 悪天。ユウコ、なおも不調。しかし宿は出なければならない。

 

【ブルガリア領事館へ】

 朝はゆっくり過ごし、11時にチェックアウト。

シルケジ駅の荷物預かり所にザックを預け、郵便局で手紙を出し、エミノニュの市バスターミナルからブルガリア領事館へ行くバスを探す。領事館の目の前にあるTurizum Sitesiのバス停には、ベシュクタシュからのU2あるいはU1、タキシムからの59UL、そしてエミノニュから出る58ULが停車する。しかし、58ULのバスは1時間に1本しかない。次のバスを待っては、12時半の受け取り時刻に間に合わない。到着が遅れて、閉店されたら大変だ。

それで案内所で聞くと、Turizm Sitesiという言葉は通じず、先に大使館へわざわざ電話して住所を確認してくれた売店のオジサンのメモにあるAkmekez Ulus(これは確か領事館の近所にある「ユダヤ人墓地」のことを意味していたと記憶している)という文字を見せると、「それなら43Rに乗れば良い」と言われる。

43Rは頻発している。車掌にも「僕らはAkmekez Ulusで降りますよ」と確認して乗り込み、車掌の近くの座席に座る。

Leventのバス停の次で、車掌と、その前にいたオジサンからも「ここだよ」と教えられ、降りる。「このまままっすぐ歩けばAkmekez Ulusがある」という。バス通りはすぐ二股になっていたが、バスは左へ、我々は右へ歩く。15分ほど歩き、ユダヤ人墓地を過ぎると、領事館があった。1240分。パスポートに30日間有効のツーリストビザを確認し、再びバスでエミノニュへ戻る。

 

 トルコではインターネットサービスが充実しているが、この先の国ではどうなるか分からない。そこでトルコ最後となる本日、あらためてメールを読みに行く。その後はエジプシャンバザールを冷やかし、バーガーキングで足を休め、両替所でリラをドルに買い戻す。昨日と比べてレートが跳ね上がっていることに驚いた。ドル→リラは304,400 リラ→ドルは305,700。昨日のうちに済ませておけばよかったと悔やむが、あとのまつりだ。

 

【あとは駅で、時を待つばかり】

 駅の荷物預かりは午後6時半までなので、駅前のカフェでコーヒーを飲んだ後、荷物を受け取る。発車まであと5時間もあるが、荷物があっては歩き回ることも出来ず、照明のない真っ暗な待合室で時を過ごす。隣接する高級そうなレストラン「オリエントエクスプレス」の中だけが明るい。余ったリラで、駅の近所の店で軽食を買ったりコーヒーを買ったりしながら、あとは待つだけだ。残り2,000リラまで使い切った。

 

 22時前、トイレに行くため待合いを出ると、すでに列車が入線していた。電気が入っていないが、車掌がいる。もう乗り込んでも良いということを確認し、我々の予約した車両に入る。待合い室も真っ暗だったが、駅も車内も暗く、なんだか寂しい。我々の乗り込んだ車両には、他にお客がもう一組いるだけだ。がらがらである。

やがて車掌がやって来て、電気をつけてくれた。暖房も入り、暖かくなる。シーツ、毛布、枕が支給される。

 

【そして出発。国境はまだか】

列車は定刻より少し前、2318分にシルケジ駅をゆっくりと発車した。車窓からはライトアップされたアヤソフィアやブルーモスクを垣間見ることが出来た。

 この列車はブルガリアの首都ソフィア行きだが、我々はソフィアへは行かない。途中にあるブルガリア第2の都市プロブディフで降り、その後はブルガリア王国の古都ヴェリコ=タルノヴォを訪れ、さらに北上してルーマニアとの国境ルセの町に立ち寄ったのち、ルーマニアに入る予定だ。ブルガリアの滞在期間は約1週間を見込んでいる。

プロブディフまでは所要10時間と聞いている。だから朝の9時半頃に着くことになる。逆算すれば、国境越えは夜明け前の3時か4時頃になるだろう。叩き起こされるんだろうなと思いながら、クシェットに横になった。他に客がいないので、4人コンパートメントを2人で自由に使うことができるのが嬉しい。

 

(つづく)